2006年4月号掲載

ニート世代の人事マネジメント

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著者紹介

概要

日本では、個人の問題として扱われることが多いニートの問題。それを、企業経営の問題として捉え、企業のリスクマネジメントという観点から論じたのが本書である。職場で増えつつある“隠れニート”の実態を明らかにすると同時に、社員のニート化を防ぐための人材マネジメントについて詳述する。ニートの問題は、もはや企業にとって対岸の火事ではない!

要約

増加する職場の“隠れニート”

 今、大きな社会問題となっている「ニート」(働いておらず、学校にも通っていない、職業訓練も受けていない若者)。このような若者の存在は、企業にとって決して対岸の火事ではない。

 ニート問題の影響は、企業経営において、若年労働者の採用難による要員計画上の問題という形で現れる。しかし、より深刻なのは、若手社員の中にいる“隠れニート”の問題である。

 働く意欲を持ち、夢や希望を抱いて入社してきた若手社員が、気がつけば夢や希望、働く意欲をなくし、失意のまま退職してしまう —— 。こうしたケースが増加している。

 この隠れニートには、何かのきっかけで働けなくなる、働く意欲を失って離職してしまうリスクが高い「ニート予備軍」と、働く意欲や目的を失ったまま働き続ける「仮面ニート」の2種類がある。

 では、若手社員がニート化する原因は何か?

 理由としては、挫折や理不尽さに対する耐性が低くなっていること、失敗を極端に恐れるようになっていることなどが挙げられる。

 その要因は、今の若者が育ってきた環境に帰するところが大きい。親も学校も、失敗や挫折をしないようにと子供を教育するようになった。その結果、失敗から学び、挫折から立ち直る貴重な経験が少ないまま社会に出ざるを得ず、そこで初めて大きな挫折を味わうことになるのだ。

 また、最近の若者は大変生真面目な面を持っており、必要以上に失敗を重く受け止めることが多い。そのため、失敗を取り戻すことができないと思い込むと、意識的または本能的にいち早くそのような状況から逃げ出そうとする。

 職場の若者のニート化を防ぐには、会社は若手社員に居場所を用意してやることが重要だ。

 しかし今、内閣府の調査などによると、職場での人間関係は危機的な状況にある。

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