2006年5月号掲載
ビジネス・プロフェッショナル 「プロ」として生きるための10話
著者紹介
概要
ここ数年、「プロフェッショナル」という言葉が注目されている。これは、低成長の時代を生きるには、自己を高める必要があると、多くの人が感じていることの現れだろう。本書は、このビジネスの世界におけるプロフェッショナルについて、プロになる方法、プロを使う方法の両面から総合的に解説したもの。1年に及ぶ調査をもとに著されただけに、説得力十分だ。
要約
プロフェッショナルの起源
「プロフェッショナル」の語源は「Profess(プロフェス)」である。
これは、宗教に入信する際、「キリスト教に身を捧げます」と宣言することだ。そこから派生し、ある集団に参加することをプロフェス→プロフェッショナルと言うようになった。
それゆえ、中世において聖職者こそが「プロ」だった。では、信者がプロの宗教家になる条件は何か? それは、次の3つである。
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- ①非常に長期間にわたる教育、鍛錬に基づく専門的な知識や技術を持っていること
- ②その職能集団に身を置くこと
- ③その仕事に与えられているルール(高い職業倫理)を守ること
現在でも、この概念は受け継がれ、高度な技術、高い職業倫理、特権的資格を有する人のことを一般的にプロと呼ぶ。そして、こうした特権的な職業に従事する人を、プロの中でも特に「ステイタスプロフェッショナル」と呼び分けている。
プロの系譜には、もう1つ、古代ギリシャの頃から脈々と受け継がれている職業人の歴史がある。
工業や商業などに従事し、その中で専門的で独創的な技術を獲得してきた人たちだ。
この意味で、日本は歴史上、多くのプロが存在していた国であった。職人技と呼ばれるものは芸術の域にまで達し、道を修めることを生涯の目標として修練に励んだ。そこにあるのは「プロフェッショナル」意識そのものだった。
特定のステイタスを得て生まれたプロの歴史と、専門職業人的プロの歴史。今、この2つが融合して新たなプロの概念が生まれようとしている。
従来、企業の中で働く人に「プロフェッショナル」という概念はなかった。企業に雇用され、企業の論理に従って働くビジネスマンには、プロとは相容れないものがあると考えられていたからだ。
だが、最近は営業や経理などの職務、あるいは管理職の立場においても、高い職業倫理や使命感が要求される。そんな中、企業内で働く個人にもプロ意識が芽生え、「ビジネス・プロフェッショナル」という概念が誕生しつつあるのだ。