2006年7月号掲載
投資銀行 日本に大変化が起こる
著者紹介
概要
「投資銀行」とは、一体どんな組織なのか? 本書は、この疑問に総合的に答えてくれる。業務内容、働く人の実態、求められる人材、日本の銀行との違い、投資銀行との付き合い方…。J.P.モルガン証券などの外資系投資銀行で、多くの企業合併・買収の最前線に立ってきた著者が、その実態を明らかにするとともに、日本の銀行の甘さ、問題点をも鋭く指摘する。
要約
「投資銀行」とは何か?
「M&Aなんて、私の会社には関係ない」と多くの日本人は思っている。だがM&Aの件数も、TOB(株式公開買い付け)の件数も、ここ数年着実に増え、日本は本格的なM&A時代に突入しつつある。
そして、世間を驚かせるような大きなM&Aの舞台裏では、必ずといっていいほど、投資銀行が黒子として関わってきている。
例えば、ソフトバンクによるボーダフォン日本法人の買収の際は、ゴールドマン・サックスなど数社がソフトバンクのアドバイザーになり、UBSがボーダフォンのアドバイザーについている。
では、そうした投資銀行は、企業買収に具体的にどのように関わっているのか?
投資銀行の仕事とは?
まず、投資銀行は日頃から「顧客の企業価値を拡大させるにはどうしたらよいか」といった視点で、顧客企業を分析・評価している。
大きく分けると、「収益力の評価」「成長性の評価」「競争力の評価」「バリュエーション分析(事業部門は各々どれくらいの価値があるのか)」「機関投資家の視点(株式市場は顧客企業をどう評価しているか)」の5つの視点で分析・評価する。
これらを通じて、顧客企業の問題点が色々と明らかになる。投資銀行では、それを踏まえて「どうすれば顧客の企業価値を向上できるか」を考え、具体的な提案書の形に落とし込んでいく。
具体的には次の3つの視点から解決策を考える。
①事業部門の売却・アライアンス
本業でない事業部門については売却するか、もしくは、他社とのアライアンスを組めないか。
②企業買収・出資
本業の成長を加速させるための企業買収もしくは合併。買収候補先はどこか。友好的買収か敵対的買収か。
③資本戦略
増資、自己株消却、株式の非公開化など、企業価値を極大化する資本戦略は何か、適切な株式資本額はどのくらいか。