2006年9月号掲載
営業「軍事力」を構築せよ 覇者となる会社の条件
著者紹介
概要
「営業とは戦争である!」―― 。本書は、「軍事」という視点の下、従来の個々の営業パーソンに依存した戦い方ではなく、組織的に戦うためのビジネスモデルの築き方を紹介するもの。会社の発展のため、営業力よりも商品開発に重きを置きがちな中、「営業力=商品力」という関係ではなく、「営業力>商品力」という関係を築くべし、との指摘が新鮮だ。
要約
新しい営業のビジネスモデルとは?
ほとんどの会社が、もっと営業部隊を叱咤激励し、営業パーソンが頑張れば、ライバルに勝てると考えている。だが残念ながら、そうではない。
今、時代は大きく変化している。具体的には、顧客が大きく構造的に変化している。顧客は、企業の合併・買収、海外への工場移転、業態変革などの構造的変化を遂げつつあるのだ。
このような時、顧客と接触する営業部隊の考え方・行動が過去を引きずる体質では、変化する顧客に対応できない。当然の帰結として、「敗者の営業」となり、それは「敗者の企業」に直結する。
こうした事態を避けるには、営業に、今までとは異なる新たな発想に基づいた「勝つための枠組み」を構築することが必要である。
すなわち、「営業とは戦い=戦争」という基本コンセプトで、「覇者」となるための新しい営業のビジネスモデルを設計するのである。
今の時代の戦争では、まず情報分析によって価値ある戦略的攻撃地域を決め、航空機・ミサイルによる空爆で制空権を確保し、戦車で攻撃して前線を突破し、さらには訓練された歩兵部隊が目的地を占領する、という戦い方が行われている。
これらの考え方を営業に取り入れていかねばならない。すなわち、「企業の意図」としての攻略目標を設定し、営業パーソン任せではなく、会社としての戦いのやり方を構築し、攻撃を行うのだ。
具体的には、次のようなビジネスモデルを作り上げていく。
①覇者となるため、将来とも収益と成長を確保できる顧客・商品目標を設定する
②その目標を達成する仕組みを作り、行動する
③目標を達成するため、計画・実行を統御する仕組みを作り、行動修正する
ごく当たり前の内容だが、現実には、この考え方・戦い方が実行できている会社は非常に少ない。営業パーソン丸投げの営業実態になっているところが極めて多い。だからこそ、本当に実行できれば覇者となれるはずなのである。
「営業」から「戦略営業」へ
では、①「将来とも収益と成長を確保できる顧客・商品目標を設定する」とはどういうことか。