2006年10月号掲載
社員が進んで働くしくみ 「働かされない働き方」が強い会社をつくる
著者紹介
概要
著者が経営する希望社は、実にユニークな建設会社だ。例えば、本社ビルに「談合しない。」という垂れ幕を掲げ、業界の談合体質に本気で立ち向かっている。極めつけは、「会社と社員がともに幸せになる」という、夢のような労使関係を目指し、導入した独特の人事・賃金制度。これら様々な“実験”は実に刺激的で、企業のあり方について改めて深く考えさせられる。
要約
「働かされない働き方」とは?
岐阜県に本拠を置く総合建設会社、希望社。
同社の正面には「談合しない。」と書かれた大きな垂れ幕がある。本気で談合を否定する。それは、日本の建設会社としては常識はずれの行動だ。
日本の建設業界は、「談合」を前提とした商売を続けてきた。それを業界内部から変えなければ、建設業界に進歩はない。たとえ業界から村八分にされても、信念を貫く必要がある。
そういう企業活動を目指している会社なので、「ぐうたら社員」を雇う余裕はない。
自社の社会的役割が理解でき、その一員であることに誇りが持てる人に働いてもらうために、希望社では、一般企業と全く異なる雇用形態を採用している。それは「働かされない働き方」だ。
社員の力を100%会社の力とするためには、会社と社員が敵対していてはダメである。
人間として自立し、自由意思で会社の求める仕事に取り組む。その姿勢の社員を揃えた組織だけが、1人1人の人間の力を完全に引き出せる。
そのためには、会社と社員の目的が細部に至るまで合致していなければならない。
会社が行おうとしている活動をよく理解し、共感し、それを自分のものにできる人だけを社員とする。そういう会社であれば、社員を人間として幸せにすることができる。
多く採って少なく育てろ
希望社には、多くの人が職を求めてやってくるが、辞めていく人もかなりいる。
会社設立後、18年間の社員在職率は16.4%。967名が入社し、808名が退社していった。