2007年1月号掲載

アドボカシー・マーケティング 顧客主導の時代に信頼される企業

Original Title :DON'T JUST RELATE――ADVOCATE!:A Blueprint for Profit in the Era of Customer Power

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著者紹介

概要

巨額の広告費を投入する。様々なキャンペーンを行う…。企業と消費者の力関係が逆転し、消費者が大きなパワーを持つ今、こうした従来型マーケティングは効果がない、と本書はいう。それに代わるのが、顧客に全ての情報を提供し、顧客を支援する「アドボカシー(支援)戦略」だ。GEやアマゾンなども行っている、この新たなマーケティングを紹介する。

要約

全てを知り尽くされる時代

 インターネットの出現で、顧客は製品やその関連情報はおろか、製品・サービスに不満を持つ人のクチコミ情報さえも入手できるようになった。

 こうした変化によって、顧客と企業の関係にも本質的な変化が生じている。顧客の力、カスタマー・パワーが劇的に増大しているのだ。

 その背景として、次の5つの要因が挙げられる。

 まず、「情報へのアクセスの増加」である。例えば、乗用車を購入する際、車種や特徴、価格を調査するためにインターネットを使っている人々の割合は64%を超えている。

 次に、「選択肢の増加」だ。顧客は以前にも増して簡単に競合商品を見つけられるようになった。サーチエンジンや比較サイトを活用し、類似商品の中から一番安くて質の良い製品を選んでいる。

 3つめは、「直接取引の単純化」である。インターネットのおかげで、顧客は家から一歩も出ずに、商品やサービスを直接取引によって購入できる。

 4つめは、「顧客同士のコミュニケーションの増加」だ。2002年、健康に関する情報を得るためにインターネットを使った米国人は1億1000万人。これらの中には、諸々の病気についてオンライン・コミュニティを形成している人々がいる。医薬品に関する情報を交換したり、治療の進め方について助言を与え合ったりしているのだ。

 5つめは、「顧客による防衛手段の増加」である。技術の発達につれて、消費者は家庭や暮らしに割り込んでくるマーケティング・メッセージを制限できるようになっている。

 ある調査では、ポップアップ広告について「とても腹立たしい」と答えた消費者は全体の64%。「腹立たしい」と答えた人を加えると96%だった。

 こうした憤りは、消費者に「企業に仕返ししてやろう」という気を起こさせる。テレビでコマーシャルが始まるとチャンネルを変える。ポップアップ広告の表示をブロックする、というように。

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