2007年2月号掲載

アメリカはなぜイスラエルを偏愛するのか 超大国に力を振るうユダヤ・ロビー

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著者紹介

概要

人口の上ではマイノリティなのに、米国の政治に強い影響力を持つユダヤ社会。その政治的パワーの源といえる“人脈と金脈”を分析した1冊。ユダヤ人史を専門とする大学教授の著書だけに、ユダヤ人の民族的背景にスポットを当てながら、現状に踏み込んでいく。感情論や奇想天外な空想に染められた凡百のユダヤ本とは、一線を画した研究書だ。

要約

最強のユダヤ・ロビー

 2006年7月、イスラエルは隣国レバノンへの大規模な空爆を開始した。この空爆は多くの民間人の命を奪い、世界中がイスラエルを非難した。

 だが、米国は違う。ブッシュ大統領は同じ日、「あらゆる国は自衛の権利がある」と述べ、イスラエル軍によるレバノン侵攻を擁護したのだ。

 1982年、同じレバノン南部にイスラエル軍が侵攻した時も、米国は撤退を求める国連決議に拒否権を発動している。

 米国はなぜ、これほど露骨にイスラエルに肩入れするのか? それは、昔から在米ユダヤ人社会の米国政府、議会への影響力が強く、彼らの働きかけが奏功しているからだとされる —— 。

ユダヤ・ロビーの実力

 米国の首都ワシントンには、様々な圧力団体がひしめいている。その中で「最強のユダヤ・ロビー」といわれるのが「米国・イスラエル公共問題委員会」(AIPAC)である。

 その力量はロビー(圧力団体)ランキングで、しばしば第2位にランクインするほどであり、例えば、05年のAIPACの年次総会には、多忙を極める連邦議員の約半数が出席している。

 年間予算1950万ドル、130人の専従職員と公称10万人の会員活動家を擁するこの団体の任務は、第1に、イスラエルの安全保障を守ることが米国の国益にかなうことだと、米国民に向かって広報・宣伝活動を行うことである。

 第2に、米・イスラエルの友好関係を保つために必要な法制定を行うよう、連邦議会に対しロビー活動を行うことである。

 同国はイランの動向監視を主目的として同機の購入を望んだのだが、同機はイスラエル空軍の監視にも使えるため、AIPACが待ったをかけたのだ。

 米国の場合、行政部が下した外国への武器売却決定は、上下両院が共に不承認の場合にのみ阻止できる。そこで、AIPACは会員活動家たちに、それぞれ地元の議員に大量の「売却反対」を求める電報、手紙、電話攻勢をかけさせたのだ。

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