2007年3月号掲載
「3年目社員」が辞める会社 辞めない会社 若手流出時代の処方箋
著者紹介
概要
新卒社員の3割が3年以内に辞めていくという「若手流出時代」が始まった。その背景には、長期安定雇用が崩れて、「会社には頼れない」と考えた若手の、成長願望がある。本書は、若手流出の現状分析をもとに、若手社員を引き留め、成長させるためのマネジメントについて、具体的な手法を提示する。そのキーワードは、「自律型人材」である。
要約
「3年で3割」辞める理由
厚生労働省の最近の調査では、新規大卒者の35.7%が入社3年以内に転職している。この比率は年々増加し、遠からず4割を超えるという見方が強い。
なぜ、新入社員は3年で辞めるのか?
メディアなどでは、その原因として次の2つを挙げる。1つは若者の「打たれ弱さ」、もう1つは業界や会社、仕事との「ミスマッチ」である。
この2つは間違ってはいないだろうが、それだけでは説明しきれない。「3年3割問題」の背後には、実はもっと深い何かが隠れている。
この問題を考える上で、ヒントとなる1つの調査結果がある。
2006年に学部卒、大学院卒の3年目社員300人を対象に実施した意識調査によると、半数以上の54.5%が転職を考えていると回答した。
しかし一方で、仕事に対する満足度は意外に低くないことがわかった。
「あなたは現状の仕事に満足しているか?」との質問に対して、「満足していない」10.6%、「あまり満足していない」19.0%で、計29.6%。
逆に「満足している」は9.7%、「やや満足している」の36.8%も加えれば、46.5%と半数近い。
つまり、今の仕事に満足していない人は3割以下であるにもかかわらず、転職したいと考えている人は54.5%もいる、ということになる。
この結果は、3年目社員の転職意向が単なる「職場への不満」だけではないことを物語っている。