2007年5月号掲載
「今のアメリカ」がわかる本 この国を知れば「世界」が見える!
- 著者
- 出版社
- 発行日2007年4月10日
- 定価586円
- ページ数236ページ
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著者紹介
概要
9.11テロ以降、ブッシュ政権は国家戦略を再定義し、イラクを攻撃した。その結果、米国はイラクで苦境に陥り、2006年の中間選挙でブッシュの共和党は歴史的な大敗を喫した。今となっては、イラク政策の失敗は明らかである。ではなぜ、ブッシュ政権の誤った外交政策が推進されたのか? また今後、米国はどこに向かおうとするのか? 今の米国の真実を暴く。
要約
歴史に見る「米国の論理」
ブッシュ大統領の共和党は2006年の中間選挙で大敗し、支持率も歴代最低レベルとなった。これは間違いなく、イラク戦争の失敗によるものだ。
米国は今、イラクへの対応に足をとられて一国主義的な政策をとり続けられない状況に陥っている。
端的にいえば、この苦境は、ブッシュ政権のネオコン(新保守主義者)とタカ派の強引な外交戦略と、その失敗の結果だろう。
対イラク政策に失敗した最大の理由
イラク開戦前、共和党の伝統的な現実派であるパウエル国務長官やブッシュ(父)元大統領の側近たちの警告は、ブッシュ大統領の耳には届かなかった。
ブッシュに強く影響を与えたのは、ラムズフェルド国防長官などのタカ派と、国防総省のネオコン勢力であった。そして、彼らの意見を支持していたのが、保守派勢力だった。
しかしその結果、米国はイラクで、かつてのベトナム戦争に匹敵するような苦境に陥っている。
その苦境の原因をつくったブッシュ政権に対して、批判の嵐が吹き荒れ、共和党の歴史的な敗北につながったのである。
ワシントンには、政策を研究するシンクタンクが数多くある。政府の官僚は彼らと議論を行うことで、ともすれば独善に陥りがちな政策を、よりバランスのとれたものにしていく。
だが、今回のイラク政策では、外部からの批判が全く顧みられなかった。
どんなに立派なシンクタンクや学者が将来を見通した研究をしていても、国家のリーダーにそれを聞く耳と能力がないと、絵に描いた餅に終わる。
そして、リーダーの耳をふさぐのは、彼らを取り巻く政治そのものなのである。