2007年5月号掲載
〈スピリチュアル〉はなぜ流行るのか
- 著者
- 出版社
- 発行日2007年3月29日
- 定価792円
- ページ数206ページ
※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。
※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。
著者紹介
概要
今、スピリチュアル・ヒーリングやスピリチュアル・ケアなど、“スピリチュアル”が流行っている。これは、宗教の枠に収まりきらない宗教的なるものと言え、最近、日本の社会で、重要な役割を担いつつある。本書では、ヒット曲やベストセラー、ブログなど身近な社会現象を素材に、スピリチュアルとは何かを紹介し、我々はそれとどう向き合うべきかを考える。
要約
「ジュピター」はなぜ人を癒すのか
「日本人は無宗教」と広く思われている。ある世論調査によると、「何か宗教を信じている」人は全体で2割余り。20代では1割もいない。
ところが、「神仏はいると思うか」という問いには、20代の3割以上が「はい」と答えている。また、「何とも言えない」もほぼ同数いる。
つまり、神や仏がいるかもしれないと考える若者は、少なくとも6割いる。これと、「宗教は信じない」との差は、どう考えればよいのか?
この差について考える際、手がかりとなるのが、次のような英語の表現だ。
“I 'm not religious, but spiritual.”
特定の宗教は信じないが、スピリチュアルなものは信じる、という意味である。
では、このスピリチュアルとは何か? わかるようで、よくわからない。精神的とか霊的とか訳してもうまくいかない。だから、カタカナのままで使われているのが現状だ。
スピリチュアルの名詞形は「スピリチュアリティ」であり、宗教研究者たちはこのなじみの薄い言葉を、例えば次のように捉えている。
- ・自分の中や自分と他者との間で働いていると感じられる、自分を超えた何ものかとつながっている感覚(の質)
- ・超自然的な力や存在に自己が影響を受けている感覚
微妙にニュアンスは違うが、大きく捉えれば、「何らかの超越的な存在×それとつながる感覚」といったあたりが共通している。理屈でなく感覚、というところがポイントだ。
「ジュピター(Jupiter)」と中越地震
2003年末に発売された歌「Jupiter」は、シングルCDの売上が100万枚を超えるヒットとなった。
この歌は、04年の新潟県中越地震を機に話題となった。発売からずいぶん時間がたっていたにもかかわらず、新潟のラジオ局に「応援メッセージ」とともにリクエストが殺到したのだ。