2007年6月号掲載
勝者の思考 いい仕事をして、いい人生を送るために
著者紹介
概要
経済ジャーナリストの財部誠一氏は、大企業からベンチャー企業に至るまで、様々な経営者にインタビューする機会を持つ。そんな著者が、企業再生や市場開拓など、過酷なビジネスの現場で、経営者がどう判断を下すのか、その「思考」のあり方にスポットを当てた。ここで紹介される、優れた経営者ならではの思考は、全てのビジネスマンの参考になるだろう。
要約
グローバル・センスの必要性
経営者と宮仕えとは、天と地ほどに違う。毎朝、顔を合わせ、経営情報を共有し、議論をしていたとしても、社長と役員とは住む世界が違う。
最終責任を負った人間だけが向かい合わなければならない、過酷な世界がある。だから経営者は、経営者になってから再び成長し、変化する。中でも顕著な変化は「思考」に表れる。
では、優れた経営者の思考とは —— 。
* * *
この10年間の世界の変化を見ると、「グローバル・センス」の必要性が痛感される。
グローバル・センスとは、日本経済が世界経済の中に完全にビルトイン(内蔵)されている現実を肌で感じ、その現実の中で、自らのビジネスを位置づけることができる能力のことである。
だが、日本人はこのような思考がほとんどできていない。その最たるものが、景気論議だ。
2002年に始まった景気拡大は5年以上にわたり、戦後最長の「いざなぎ景気」をも超えた。
だが、大多数のエコノミストは、景気が回復している事実を認識できなかった。
均質性を特徴とする日本社会では、経済現象までもが多数決で決まる。「みんなが不況と言っているから不況なのだ」という論法がまかり通る。
そして、景気拡大が動かぬ事実となるや、今度は「格差」論議で景気拡大にケチをつけ始めた。