2007年6月号掲載
環境問題はなぜウソがまかり通るのか
著者紹介
概要
地球に優しいはずの環境活動。だが実は、往々にしてそれは環境を悪化させる。例えば、ペットボトルのリサイクルは、むしろ石油の消費量を増やす。また、自治体による古紙リサイクル運動は、民間の回収業者を圧迫する結果となった。そして、巨額のカネと利権が、環境保全という錦の御旗の影で動いている…。環境問題を巡るウソと、その裏事情がよくわかる1冊。
要約
環境問題が人をだます時
「地球環境をこれ以上悪化させたくない」という願いは、今や地球全体で誰にとっても疑いなく共有され得るものである。これに反対したり、異説を唱えたりすることは非常に難しい。
しかし、こうした環境活動が錦の御旗と化し、科学的な議論を斥けているとしたらどうだろうか。環境活動という大義名分の下、人々を欺き、むしろ環境を悪化させているとしたら —— 。
リサイクルすることで、資源を7倍使っている
多くの人はペットボトルを分別しており、そうでない人も「環境が大切だから、分別しなければならない」と後ろめたく思っていることだろう。
しかし、本当は逆である。
まず、ペットボトルのリサイクルは大量消費を加速させた。リサイクルするということで皆が安心し気軽に使うようになる。その結果、リサイクルが始まった当初、1993年の消費量は12万トンだったが、2004年は4倍の51万トンに増えた。
一方、資源も有効に利用されたとは言い難い。
ペットボトルを作るよりも、リサイクルする方が石油を多く使う。
数字で見ると、リサイクルをする前の93年に使っていた石油が26万トン、リサイクルをするようになった04年のそれは約200万トン。つまり、資源(石油)は約7倍も多く使うようになった。
それなのに、再利用できたペットボトルはたった3万トンである。
このように、ペットボトルのリサイクルは環境に対して逆効果である。にもかかわらず、なぜ、リサイクルが横行しているのか?
それは、そこに“利権構造”があるからだ。