2007年9月号掲載
実戦 人材開発の教科書 あなたの会社の「社員」は育っていますか
著者紹介
概要
団塊世代の定年退職、人口減少に伴う労働人口の減少などにより、人手不足の時代がやってくる。経営資源の3要素、ヒト、モノ、カネのうち、最も重要なヒトが少なくなる ―― 企業にとり死活問題といえるこの事態に対し、著者は、今こそ経営者主導で「社員を育てる経営」を行うべきだと主張。そのスタンスから、人材開発を行う上での最重要ポイントを解説する。
要約
「社員を育てる経営」とは何か
「人材開発重視」—— 恐らく多くの企業の経営方針に、こう掲げられているだろう。しかし、このフレーズほど当てにならないものはない。
確かに人事に関する企業の関心は、人材開発へ向かいつつある。だが、その運用は人材開発部門や現場の管理者に任せきりだったり、単に研修を行うだけで満足してしまっているケースも多い。
それは、人材開発が本当の意味での経営課題になっていないからだ。
団塊世代の定年退職、人口の減少などの影響で、これからは過去に例を見ないくらい人材開発力が企業経営の成功を左右する時代がやってくる。
今こそ、経営者主導の人材開発体制を構築し、「社員を育てる経営」を実行すべき時である。
人材開発の「PDCA」を回す
多くの企業では、何らかの社員教育を行っている。問題はそれが経営レベルの課題になっているか、また、「PDCA」を回して継続的に改善を行える仕組みになっているかということだ。
つまり、経営トップが責任を持って人材開発のPDCAを回すこと、すなわち、次の6つのステップを順序よく回すことが大事なのである。
①人材要件を定義する(Plan)
会社が社員に期待する能力要件、行動要件や成果を定義する。
②ギャップを分析する(Plan)
理想(会社が期待する人材要件)と現実(社員の現状レベル)のギャップを分析する。
③教育体系を整備する(Plan)
理想と現実のギャップを埋めるための教育体系を整備する。
④教育を実施する(Do)
⑤効果を測定する(Check)
期待する人材要件に照らして、どれだけ改善されたかという視点で教育の効果を測定する。