2007年12月号掲載

最新ハーバード流 3D交渉術

Original Title :3-D Negotiation:Powerful Tools to Change the Game in Your Most Important Deals

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著者紹介

概要

ハーバード大学ビジネススクールでは、ビジネスに必須のスキルとして、「交渉学」を履修科目に取り入れている。その最新の成果を集約した本書は、相手との駆け引きに終始する従来の交渉術、すなわち「1次元」での交渉は思うような成果を上げられないと指摘。豊富な事例研究と理論的研究の両面から、従来にない画期的な交渉術、「3次元」アプローチの効用を説く。

要約

「3次元の交渉」とは何か

 従来の交渉術は、交渉というものを「単一の次元」でしか捉えていない。すなわち、戦術 ── 交渉テーブルでの駆け引き ── に終始するやり方にしか目を向けていない。

 この“1次元のアプローチ”のせいで、本来得られるべき成果をみすみす逃す結果に終わっていることが、あまりにも多い。1次元のアプローチは不毛な対立を引き起こし、交渉を水準以下の結果に押しとどめてしまう。

 交渉を成功に導くためには、3次元での交渉、すなわち「3Dネゴシエーション」のアプローチが必要である。

①戦術

 その第1の次元は、すでにおなじみの「戦術」である。戦術とは、相手を説得するためにどう出るかというプロセスの選び方である。

②取引設計

 第2の次元は「取引設計」である。これは、交渉の表面下に潜んでいる価値(経済的価値以外の価値も含めて)を探り出し、その価値を双方が得られるように合意内容を組み立てることである。

③セットアップ

 そして第3の次元は「セットアップ」である。これは、交渉テーブルから離れたところで、交渉の状況を有利に設定するというものだ。

 そのカギは、次のような事柄の的確な見極めにある。交渉に引き入れるべき関係当事者、交渉の順序、焦点とするべき利益、交渉のタイミング、期待すべき結果、合意しない場合の選択肢…。

 この3Dネゴシエーションの強みの1つは、1つの次元における問題を別の次元で解決する道が開ける、ということである。

成否は交渉の場以外で決まる

 従来の常識によれば、交渉とは、自他双方に共通の利害を見出して「ウィン−ウィン」の合意に達すること、とされている。

 確かに、利害の一致点を見出すことは、ほぼ必ずプラスになる。しかしその一方で、実は利害の相違もまた利益の大きな源泉になりうる。

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