2008年2月号掲載
プレミアム戦略
著者紹介
概要
日本は今、大量生産、使い捨てといった未熟な生産・消費社会から、本当によい物を選び、大切に使い、生活を豊かにする生産・消費社会へと移行しつつある。こうした“成熟消費社会”において、カギとなるのは「プレミアム」だ。本書では、このプレミアムの本質を解明するとともに、それに則った企業戦略 ―― 同質競争から脱却するための1つの方向性を指し示す。
要約
「プレミアム」とは何か
「プレミアムなおもてなし」「プレミアムなスイーツ」…。最近、様々な商品やサービスの宣伝で、「プレミアム」という文字を目にする。
成熟消費社会に突入している日本において、プレミアムは1つの重要なキーワードである。
それは、これまでの大量生産・大量消費という思想を根本から覆す、全く異なるパラダイムだ。
使い捨て、安売りといった未熟な生産・消費社会から、良いものを大切に使いながら生活を豊かにするという「スマート」な生産・消費社会への移行。これが、成熟社会の大きな流れである。
プレミアムとは、富裕層だけを対象とした消費現象ではない。これまでとは全く異なる価値観を持った消費者が生まれ、拡大するという本質的な地殻変動として捉えるべき流れなのである。
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プレミアムという言葉は、「余分な対価を支払う価値のある高付加価値の商品やサービス」などを呼ぶ際に使われる。
すなわちプレミアムとは、プラスアルファの対価を支払ってでも手に入れたいと思わせる「特別な価値」「プラスアルファの価値」と定義できる。
では、プラスアルファの価値とは何か?
それは、「機能的価値」と「情緒的価値」という2つの側面から捉える必要がある。
「尖り」を持った独自の機能的価値
機能的価値とは、消費者が商品やサービスから享受する本来的な価値の部分である。プレミアムはこの機能的価値において、圧倒的にレベルの違う価値を消費者に訴求しなければならない。