2008年2月号掲載

資源世界大戦が始まった 2015年日本の国家戦略

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著者紹介

概要

今、地球上の限られた資源を巡り、世界各国が熾烈な争いを繰り広げている。その様子はまるで、国家利益が激しく対立した1930年代に逆戻りしたかのようだ。本書は、そうした各国による資源争奪戦の最前線をレポートするとともに、それが引き起こすパワーバランスの変化についても鋭く指摘する。米国頼みの日本の危うさを、まざまざと思い知らされる1冊である。

要約

資源が世界を変える

 止まるところを知らぬ石油の高値と暴落し続けるドルにより、世界に大きな混乱が生じつつある。

 20世紀の国際社会を動かしてきた石油とドルの時代が終わりを告げ、21世紀の新しい世界戦争が始まったのだ。

温暖化で北極圏の石油争奪戦が始まった

 2007年夏、カナダ海軍は旧式のフリゲートに戦闘部隊を乗せ、北極圏のパトロールを行った。その際、完全武装のロシア艦隊に遭遇し、あわや戦闘という危機一髪の状況に陥った。

 氷に閉ざされた北極圏は、いまだに測量も十分に行われていない。そのため、どの国がどこを持っているのかはっきりしておらず、ロシアをはじめ様々な国が権利を主張してきた。

 デンマークもその1つであり、軍艦を送り込んでいる。それに対抗しているのがカナダで、2000年代になってから何回か、北極圏で軍事作戦を展開している。例えば05年、デンマークと領有権を争うハンス島にヘリコプター部隊を送り込み、外交紛争が起きている。

 こうした北極圏を巡る衝突が増えてきたのは、地球温暖化の影響で北極圏の氷が急速に解け始め、その莫大な地下資源が注目され始めたからだ。

 米国の専門家の推定では、北極圏の海底に眠る石油の量は現在、世界中に埋蔵されているとされる全石油量の5分の1、1750億バーレルに上る。

 米国の場合、北極圏の氷がなくなれば、アラスカ沿岸の海底資源により1兆3000億ドルもの膨大な利益を得ることができる。

30億人の一大経済圏が世界を変えた

 こうした資源争奪戦の背景には、世界経済の猛烈な拡大がある。

 今、世界経済の話題といえば中国経済ばかりだが、世界をよく見れば、東欧から東南アジアに至る国々の経済も拡大している。

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