2020年5月号掲載
地球に住めなくなる日 「気候崩壊」の避けられない真実
Original Title :THE UNINHABITABLE EARTH:LIFE AFTER WARMING
- 著者
- 出版社
- 発行日2020年3月15日
- 定価2,090円
- ページ数286ページ
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著者紹介
概要
気候変動による影響は、すでに危険域に入っている! 2018年夏、世界を殺人的な熱波が襲い、インドでは100年ぶりの大洪水が起きた。にもかかわらず、地球温暖化の問題については、どこか他人事。そんな現状に、一石を投じる書だ。大規模な気候難民、感染症のグローバル化等々、最悪の未来を具体的に示し、警鐘を鳴らす。
要約
気候崩壊の連鎖が起きている
気候変動 ―― 。その実態は、思った以上に深刻だ。
進行はゆっくりだとか、実際のところ変動は起きていないとか言われているが、どれも不安をごまかすために無理やり思いこんでいるだけだ。
産業革命の頃から積みあがってきたツケを、何百年も後で自分たちが払わされている ―― 多くの人は地球温暖化をそうとらえている。
だが、化石燃料を燃やして大気中に放出された二酸化炭素は、この30年に発生したものが半分以上を占める。つまり、地球の運命を揺るがし、人間の生命と文明の維持を危うくさせているのは、今生きている私たちのしわざということだ。
隠されてきた「最悪のシナリオ」
最新の研究を含め、気候変動に関する話題は、アメリカのテレビや新聞でとりあげられることが少ない。もちろん報道はされるし、警鐘も鳴らされる。でも、どこか他人事だ。
京都議定書が採択された1997年頃は、地球の気温上昇が2℃を超えると深刻な事態になると考えられていた。しかし、それから20年以上たっても、目標は実質的に何ひとつ達成できていない。二酸化炭素の排出量はむしろ増えている。
2016年、パリ協定は平均気温の上昇幅を2℃までと定めた。しかし、それから数年たったが、目標に近づいている先進国は皆無だ。いつの間にか2℃目標は、望ましいシナリオにすりかわった。
気候崩壊はすでに進んでいる
2017年夏、大西洋上で発生したハリケーン・ハービーの襲来を受けたテキサス州ヒューストンは、地域によっては「50万年に一度」と言われる記録的雨量になった。
2018年夏には、わずか1週間の間に世界各地が記録的な熱波にやられた。中東オマーンのある町では日中の気温が49℃を記録、カナダのケベック州では熱波で54人が死亡している。アメリカ西部では100カ所で大きな山火事が発生した。
日本では、2018年7月の西日本豪雨で120万人に避難勧告が出された。8月、インドのケララ州では100年ぶりという大洪水が起きた。
これだけ自然災害が頻発して、以前から予測されていたことが現実になってくると、気候変動はもう起きていると思わざるをえない。すべてが変わって、新しい時代に突入したのだ。