2008年7月号掲載

中国の仮面資本主義 党エリートに壟断される経済と社会

Original Title :LE GRAND BLUFF CHINOIS

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著者紹介

概要

「2040年には人口が16億人を超える」「2050年までにGDPで米国を追い抜く」…。好ましい数字を並べ立て、対外イメージの向上を図る中国。だが、実態はどうかというと、共産党の一党独裁体制にはすでに何本もひびが入っている。本書では、虚勢の裏側にある中国の矛盾と破断の兆しを、政治、経済、貿易、社会の各分野から摘出し、この大国の「実像」に迫る。

要約

国家のマーケティング

 今日、中国の何億人という巨大市場に夢を抱く人々は、世界中に広がっている。

 では、実際のところ、中国人は何人いるのか?

 中国政府は2010年に14億人、40年には16億人を超えるという。あまりにも桁が大きいので、考えれば考えるほど実感が薄れていく。そこが彼らの狙いであり、そのため次々と数字を発表する。

 中国国家統計局には6万人の職員がいて、徹底して経済を数値化している。こうした数字を高らかに発表することで、好ましい国家像を海外にアピールしようとしている。

 例えば、中国のGDPは10年にドイツを抜き、30年に日本に追いつき、50年までには米国を追い抜き、世界一の経済大国になるといわれている。

 この30年間、中国がひたすら資金と努力を注いできたのはまさに、その地位に到達するためだ。

 そのために、中国はまず資金援助と技術援助を諸外国から引き出さなければならなかった。

 そこで1980年代、彼らは外国の同情を誘う作戦をとり、中国がいかに貧しく遅れているかを強調した。次いで90年代になると、盛んに国際シンポジウムを開催し、中国経済の潜在力がいかに大きいかを海外投資家にアピールした。

 現段階で大事なのは、海外投資家に体制の安定とその平和的な意図を確信させ、投資を続けさせることだ。だからこそ、中国政府は国内メディアを統制下に置き、「調和のとれた成長」というイメージに傷がつくような情報を封じ込めている。

 また対外的には、中国が開かれた国際経済システムの構築と国際平和に貢献していることを盛んに宣伝している。

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