2008年10月号掲載
民主党のアメリカ 共和党のアメリカ
- 著者
- 出版社
- 発行日2008年8月8日
- 定価935円
- ページ数232ページ
※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。
※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。
著者紹介
概要
民主党と共和党。アメリカの政治を動かすこの二大政党は、軍事、財政といった政策面はもちろんのこと、妊娠中絶や銃規制の是非といった価値観の面でも対立している。本書では、そうした両党間の“対立軸”が成立した歴史的経緯や、背景にあるイデオロギーについて、わかりやすく解説。さらに、この対立軸が今後どのように変化するかについても考察する。
要約
マケイン対オバマの意味
2008年の大統領選挙では、共和党のマケインと民主党のオバマが正面からぶつかっている。
この2人の間にある対立軸とは何か?
例えば、軍事外交の問題を見ると、フセイン政権打倒後のイラクの新政権はなかなか安定しない。
そんな中、あくまでイラクにおける「勝利」を確定させよう、というのがマケインの立場である。「アメリカの力」を見せることが、新たなテロの抑止力になるという考え方だ。
一方のオバマは、イラク開戦自体が誤りだった、イラクからアメリカは撤収すべき、と主張する。
表面的にはそうした対立があるが、実はこの2人の政治信念はそう単純ではない。
まずマケインだが、例えば、中ロを相手とした戦略核の削減交渉を進めるべきだとする。これは、交渉よりMD(ミサイル防衛)技術で自国を守ろうというブッシュ路線とは一線を画したものだ。
一方のオバマも、反戦思想一本ではない。アフガン問題では、アルカイダ勢力に対する掃討作戦を米軍単独でやるべきだと発言している。
イラク反戦を訴えつつアフガンでは強硬なオバマ、ブッシュ路線の継承を宣言しつつ、核兵器削減交渉はするというマケイン。一見、2人の姿勢は矛盾しているようだが、実はそうではない。
大義を認めない戦争には反戦、大義を認めた戦争には積極的な民主党、国内的にナショナリズムを煽りながら、敵とは交渉をしたがる共和党、という両党の行動パターンに忠実に沿ったものだ。
この2人の政治信念こそが、二大政党の典型的な対立軸ということができるだろう。