2009年1月号掲載
事例でわかる! ブランド戦略【実践】講座
著者紹介
概要
自社のブランドをもっと魅力的にするにはどうすべきか ―― 。本書は、多くの企業が抱えるこの悩みにズバリ答える。「実践」の書名通り、ここで披露されるのはMBA的な机上の空論ではない。これまで100余のブランドに携わった著者が、現場での経験に基づき、効率的かつ効果的なブランディング手法の数々を説く。いずれも即、実践できそうなものばかりだ。
要約
2つのブランド戦略
ブランド戦略は、大きく次の2つに分かれる。
・戦略1
競合他社が築いた市場に後から参入し、連続的な新製品の発売、大量の広告投資、強力なプロモーションによって市場を席巻する。
・戦略2
先発企業が作った市場は無視し、自分が一番手になれるカテゴリーを自ら作り出す。
戦略1は典型的な物量作戦で、豊富なマーケティング費用を使える大企業に適している。
一方、戦略2の成功例としては、例えば、アサヒビールの「スーパードライ」がある。
この場合、ビール市場を支配していたキリン・ラガービールをまずは無視した。そして新カテゴリー「ドライ・ビール」を作り、そのマーケティングに専念した。その結果、ビール市場全体のリーダー・ブランドとなったのである。
人は「初めて見るブランド名」には大して興味を持たない。だが、「初めて見るカテゴリー」には大いに興味を示す。例えば、あなたはアマゾンという名前よりも、「インターネット書店」というカテゴリーに興味を感じたのではないか。
ブランドが世に生まれ落ちる時には、「カテゴリーとしての新しさ」がとても重要になるのだ。
以上、戦略1と2を簡単に言うと、前者は物量戦で、後者はゲリラ戦。全ての個別施策は、この2つの戦略のどちらかに沿って決定される。
日本の全産業の98%が中小零細企業だということを考えると、ほとんどの企業が戦略2でビジネスを展開しない限り、成功は難しい。