2009年8月号掲載

オバマ外交で沈没する日本

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著者紹介

概要

米国ばかりか、日本でも圧倒的な人気を誇るオバマ大統領。だが、彼によって、わが国は沈没しかねない。オバマ政権の外交政策や軍事政策は世界を一変させ、その結果、日本は苦しい立場に追い込まれる ―― 。日米関係に精通するジャーナリスト、日高義樹氏が、オバマ政権が現在進めつつある、対北朝鮮、対中国、対中東戦略を分析、今後の世界を展望する。

要約

オバマは北朝鮮と正式国交を樹立する

 2009年4月5日11時30分。青森県の北端にある米国陸軍の特殊レーダーが、北朝鮮が打ち上げたテポドンを察知した。

 この情報は、北朝鮮の動きに備えて、陸海空の司令官が集まっていたペンタゴンに送られた。そして、ここで検討された全情報は、ホワイトハウスの地下にある、米国防衛のための軍事行動を統括するシチュエーションルームに届けられた。

 この時、オバマ大統領はチェコの首都プラハで核兵器廃絶の演説をした後、ホテルで休んでいた。

 現地時間午前4時過ぎだったが、衛星による同時中継で、ペンタゴンとシチュエーションルーム、オバマ大統領が直結した。

オバマ大統領は6カ国協議には戻らない

 米国はミサイル防衛体制を、すでに相当なレベルまで完成させている。ミサイルの飛んでくるコースと時間がわかれば、邀撃ミサイルを撃ち込み、破壊することが可能だ。

 米軍の首脳は、今度のテポドンは邀撃体制をとるための格好の訓練になると考えていた。

 だが、オバマはテポドンを撃ち落とすことを拒否した。彼がテポドンを撃ち落とさなかったのは、北朝鮮に対する外交政策を全く持たないからだ。

 そもそもオバマは、北朝鮮問題に関心がない。スタッフの中にも専門家は全くいない。

 それは、6カ国協議を始めたのがブッシュ前大統領だからだ。オバマは、あくまでブッシュとは違うことをやろうとしているのである。

国務省の官僚が北朝鮮寄りの政策を推し進める

 北朝鮮政策については、もう1つ忘れてはならない重要な事実がある。ブッシュ政権の下で北朝鮮問題を担当したクリストファー・ヒル国務次官補がブッシュ大統領に造反し、結果的に米国と北朝鮮との2国間交渉になってしまったことだ。

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