2009年9月号掲載
増税が国を滅ぼす 保守派が語るアメリカ経済史
Original Title :THE END OF PROSPERITY
著者紹介
概要
著者の1人、アーサー・B・ラッファーは、「ラッファー・カーブ理論」の考案者として知られる。税率が高すぎると経済活動が弱まって税収が減る、というこの理論は、1980年代以降の米国の経済政策に取り入れられ、繁栄をもたらした。しかし今、オバマ政権は増税を行おうとしている。もし、それが現実のものとなれば、米国経済は混迷に陥る、と本書は警告する。
要約
米国経済に降りかかる災難
『アメリカの没落』『大国の興亡』…。ここ20~30年の間に、大勢の左派の衰亡論者が、米国経済の終焉を予告する本を書いた。
だが、1980~90年代の米国が長期的な好況を維持したことは、紛れもない事実である。
なぜ、それが可能だったのか?
81年に大統領となったレーガンは、当時の米国が抱える最大の問題 ―― インフレ、高い税率、規制の足枷、増える一方の政府支出に手を付けた。
レーガノミクスと呼ばれる、その経済政策は、減税が経済成長を促すという「サプライサイド経済学」の考え方に基づく自由市場経済政策である。
この政策により、長期的な好況を維持したのだ。
米国の純資産額は、80年の25兆ドルから2007年には57兆ドルに増えた。米国ではここ25年間で、過去の200年分に相当する富が生まれている。
また、年間所得が7万5000ドルを上回る世帯の比率は、67年には9%だったが、05年には33%に達し、3倍以上に増えた。
さらに、議会予算局が行った調査では、驚くべき事実が判明した。94~04年の10年間で所得が最も大きく伸びたのは、最低所得層(全所得層の下位20%)だったのである。
80年以降、米国人の生活水準は大きく向上した。正しい経済政策が、成長を生み出したのだ。
オバマ増税
だが、その繁栄も終わりに近づきつつある。