2010年5月号掲載
日本人として知っておきたい近代史(明治篇)
- 著者
- 出版社
- 発行日2010年4月1日
- 定価814円
- ページ数237ページ
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著者紹介
概要
幕末から明治にかけ、日本には大人物が多数現れた。松下村塾で若者たちを教育した吉田松陰、明治維新で中心的な働きをした岩倉具視、近代日本の基礎固めをした伊藤博文…。「人間が歴史を動かす主人公である」との視点の下、本書は、これら明治を築き上げた人物の考え方、行動を明らかにする。そして、そのことを通じ、「日本とは」「日本人とは」何かを考えていく。
要約
人間を中心に歴史をつかむ
かつてどの時代の日本人も、「日本とはこういう国だ」という国家意識を共通して持っていた。
しかし戦後は、学校の歴史教育で国家観について教えられることがなくなり、自国についての基本的な知識が欠落することとなった。そのことを、今、多くの人が切実に感じ始めている。
それゆえか、「この国はどんな国か」という問いかけが、最近、自然発生的に起こるようになっている。
それはある意味で、今ほど日本人のアイデンティティが求められている時代はないからだ。
“グローバル社会”と耳にたこができるほどいわれる国際化の時代だからこそ、「日本人とは何なのか」を、自分の胸に刻みつけておく必要が強く感じられるようになってきているのである。
その方法としてまさに最適なのが、人間を中心にこの国の歴史をつかんでいくことだ。
なぜなら、日本という国は、抽象的な概念や制度で動く国ではなく、あくまで具体的な人間が主役として歴史を動かしてゆく国だからである。
そして、日本を知る上で重要な時代の1つが、欧米列強の圧力にさらされる中、新しい時代を懸命に模索した激動期、すなわち幕末維新である。
吉田松陰 ― この国の未来を守るための戦略
この時代において、吉田松陰ほど重要な存在はない。それは、この国を動かす根本の力が「モノ」ではなく、教育によって作られる「人間」とその「こころ」にあることを示した人物だからだ。
松陰が萩の「松下村塾」において教育に携わったのはほんの数年にすぎない。
しかし、村塾からは高杉晋作、伊藤博文、山県有朋といった志士たちが育った。そして彼らが幕府を倒し、近代国家・日本を築き上げた。