2010年7月号掲載
交渉の達人 いかに障害を克服し、すばらしい成果を手にするか
Original Title :NEGOTIATION GENIUS
- 著者
- 出版社
- 発行日2010年5月20日
- 定価2,750円
- ページ数345ページ
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著者紹介
概要
絶望的に思えた状況を完全にひっくり返す、相手との関係や評判を強化しながら、取引をうまくまとめる…。そんな「交渉の達人」になるにはどうすればよいか。ハーバード・ビジネススクールで交渉術を教える2人の著者が、最新の心理学なども踏まえた基礎理論、そして実践の仕方をわかりやすく解説する。「ハーバード流交渉術」を体系的に学ぶことができる1冊。
要約
周到な“準備”を行う
1912年の米大統領選挙でのこと。
セオドア・ルーズベルトの選挙対策責任者は、ルーズベルトの写真を添えたビラ300万枚が刷り上がったところで、大失態に気づいた。写真家から写真の使用許可をとっていなかったのだ。
著作権法では、写真家は1枚につき最大1ドルの使用料を請求できる。もし請求されれば、300万ドルを支払わなければならない。ビラを刷り直すにも巨額の費用がかかる。
こうなると、写真家と交渉して有利な取引に持ち込むしかない。選挙対策責任者は問題を慎重に分析した後、次のような電報を写真家に送った。
「写真付きの遊説用ビラを300万枚配布する計画がある。写真家にとってまたとない宣伝の機会だと思われる。貴殿の写真を使用した場合、いくらなら払う用意があるのか、至急連絡されたし」
写真家はすぐ回答してきた。「ありがたい機会ですが、250ドルまでしか払えません」 ―― 。
このような「交渉の達人」になるには、どうすればよいのか?
まずは、徹底した準備を行うことだ。具体的には、次の5つのステップを実行する。
①自分のBATNA(不調時対策案)を見極める
「この交渉が不調に終わったらどうするのか」と自問することが最初の1歩となる。
換言すれば、自分の「BATNA」(交渉が袋小路に陥った場合に、とるべき最善の代替案)を見極める必要がある。
すなわち、交渉相手と合意に達することができない場合に考えられる妥当な選択肢を全て把握する → それぞれの選択肢の価値を推計する → 最善の選択肢を選ぶ。これが、BATNAとなる。