2010年9月号掲載
定年から輝く生き方 一生モノの成功法則
著者紹介
概要
人の真価は、定年後に発揮される。たとえ定年まで失敗続きでも、人生の最後を輝きで満たすことができれば、それこそが真の成功である ―― 。医師として多くの人の生と死を見てきた著者が、人生終盤からの生を充実させるための心構えと、その方法を説く。巻末には「死生観を持つ」「怒らない」「上手に悪口を言う」等、“最後まで輝く人生を送る15の秘訣”を収録。
要約
最後まで輝く人生
「定年」というと、現役を引退し、くすんだ日々を送るというイメージがある。だが、本当に輝く人生というのは定年後に始まる。
定年になると、誰でも自分の来し方を振り返る。出世に乗り遅れた、社会的地位に縁がなかった…。
だが、たとえ挫折続きであっても、それは途中経過での評価に過ぎない。私たちは定年後、人生の終盤になってからこそ、その真価が発揮される。
人生のファイナルを輝きで満たすことができれば、それこそが真の成功だ。
出世も地位も手放した時こそ、真の自分に立ち返ることができる。定年をスタート地点とし、最後に向かって尻上がりに輝きを増す人生。そんな人生をスタートさせようではないか。
私たちが生きている目的は何か
私は仕事柄、ずっと死というものを見つめ、死について思索し続け、その結果、独自の死生観を構築するに至った。それは、次のようなものだ。
150億年前、ビッグバンが起こって宇宙が誕生した。ビッグバンは「虚空」の中で生まれたといわれている。虚空というのは、仏教用語で「何もない空間」という意味だ。
このビッグバンによって私たちの生命の源も生まれ、私たちの魂はそこから旅を続けてきた。長い旅だから、いのちのエネルギーは消耗していく。そこで「休憩の場」として与えられたのが地球だ。
人間は皆、ここで途中下車をして、いのちのエネルギーを再び押し上げる猶予が与えられている。それこそが、私たちが地球に生まれてきた理由だ。
この地球で何十年か過ごし、十分なエネルギーがたまると再び旅に出て、150億年かけて虚空に戻っていく。それが宇宙の循環ということである。
一巡り300億年のいのちの旅と考えるとワクワクしてくるし、死ぬのが楽しみにさえなってくる。