2010年9月号掲載
新訳 科学的管理法 マネジメントの原点
Original Title :The Principles of Scientific Management
- 著者
- 出版社
- 発行日2009年11月27日
- 定価1,760円
- ページ数175ページ
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著者紹介
概要
科学的な視点から労働者の能力を開発し、科学的な法則に沿って仕事を進めることで、労働効率は高まり、雇用者と労働者はともに繁栄できる。1911年刊行の『科学的管理法』はこのように説き、ドラッカーら後世の経営学者に大きな影響を与えた。この歴史的名著を、新訳で復刻。原著は約100年前の本だが、深い人間観察に基づくその論に、学ぶべき点は少なくない。
要約
「科学的管理法」とは何か
マネジメントの目的は何より、雇用主に「限りない繁栄」をもたらし、併せて、働き手に「最大限の豊かさ」を届けることであるべきだ。
このような主張は、あまりに当然すぎて、改めて述べるには及ばないと思われるかもしれない。
しかし、産業界を広く見渡すと、雇用主も働き手も、協調よりも、敵対しようとする空気が強い。
雇用主と働き手の利害は一致する
ほとんどの人は、「雇用主と働き手の利害が対立するのは避けられない」と思い込んでいる。
これとは対照的に、新しいマネジメント手法である“科学的管理法(課業タスクのマネジメント)”は、「雇用主と働き手の利害は、最終的には一致する」という信念を拠り所としている。
雇用主が繁栄を続けるためには働き手に豊かさをもたらすことが不可欠であり、働き手が豊かであり続けるには雇用主の繁栄が前提となるのだ。
また、雇用主は、働き手に高賃金を支払いながら、人件費を低く抑えるのも夢ではない。
労働者を蝕む最大の悪習
最高の豊かさを手にする。そのためには、誰もが効率を追求し、日々の出来高を最大限に増やす他にはない。この点を否定する人はいないだろう。
この理屈が正しいなら、マネジャー層と働き手が第一に目指すべきは、1人1人の人材に研修を施したり能力開発を促したりして、本人の持ち味に合い、かつ最も高度な仕事を、最大のスピードと効率で仕上げられるようにすることだ。
これは自明の原則だ、と考える人も少なくないかもしれない。ならば、ここで現状を見てみよう。
米国の労働者が野球をする時も、英国の労働者がクリケットに興じる時も、彼らは間違いなく全力で勝利を目指すはずだ。出塁のチャンスを逃すまいと、あらん限りの力を振り絞る。