2010年12月号掲載
「日本品質」で世界を制す!
著者紹介
概要
近年、日本を代表するような大企業が製造する製品の品質トラブルが相次いでいる。その背景には、「ビジネスの構造的な変化」がある。例えば、グローバル化の進展で、1つの製品不良が瞬時に世界に広がるリスクが高まった。本書は、これら品質問題の現状を分析し、「日本品質」を守るだけでなく、より高めていくためには何をすべきかを説く。
要約
品質は本当に危機なのか
「品質の国 ―― 日本」
この代名詞が今、大きく揺らいでいる。
2005年に起きた松下電器産業(現パナソニック)の石油温風機の問題、06年のソニーのリチウムイオン電池、その他、花王の「エコナ」やトヨタ自動車のリコール問題…。
日本を代表する企業がここ数年、大きな品質問題を相次いで起こしている。
「品質」が大問題化する理由
一連の報道で日本企業の品質劣化のイメージが大きく膨らんでいるが、実際にはトヨタのリコール問題でも、極めて感情的な物言いが目立ち、状況を冷静に分析した上での議論は少なかった。
では、実体としての品質はどうなっているのか。
実のところ、品質問題の相次ぐ発生を受け、日本企業の品質改善に向けての取り組みは、これまで以上に強化されている。
にもかかわらず、なぜ日本企業の品質問題がこれほどまでにクローズアップされるのか?
その背景には、ビジネスの構造的な変化がある。
それは、たった1つの品質問題がもたらす影響が過去に比べ、格段に大きくなっていることだ。
その1つの要因が「部品共通化の進展」である。