2010年12月号掲載
改訂版 アメリカのスーパーエリート教育 独創力とリーダーシップを育てる全寮制学校
著者紹介
概要
米国には、政財界、あるいは科学、芸術など各界の著名人を輩出する、「ボーディングスクール(全寮制学校)」という中等教育機関がある。そこでは、世界中から集めた優秀な生徒が、個々の得意分野を伸ばし、その分野における指導者となれるような、徹底したエリート教育が行われている。その全容を、約200校のボーディングスクールを訪問した著者が紹介する。
要約
アメリカパワーの源泉は教育にあり!
企業や国家のパワーの源は、国家や企業が「人」の集まりである以上、人以外にない。人が腐れば、企業も国家も滅びる。
人は生まれてきただけでは宝石の原石のようなもので、これに磨きをかけなければただの石だ。
では、ただの石を宝石に生まれ変わらせるのは一体何か。それは、「教育」である。
注目すべきは、教育を施すのも人、教育を受けるのも人だということだ。人が人を教育する。ここに、教育というものの恐ろしい本質が存在する。多くの人が、このことに気づいていない。
例えば、ユダヤ人は世界人口の1%にも満たないが、ノーベル賞受賞者の約30%はユダヤ人だ。
そして、全ユダヤ人口の半分は米国にいる。私のハーバード法学校時代の友人は全員ユダヤ人であり、教授も大半はユダヤ人だった。
教育を施すのもユダヤ人、教育を受けるのもユダヤ人 ―― この図式が続く限り、ユダヤ民族はノーベル賞受賞者を輩出し続けるだろう。人を教える教師こそが、民族の優劣の決め手となるのだ。
このように見ると、アメリカパワーの源泉は教育にあるということは明らかである。
「ボトムアップ方式」と「プルアップ方式」
ここでいう教育とは、最も教育効果の発揮される10代後半の中学・高校教育であり、大学教育ではない。大学で学ぶ学問の土台を作る人格教育、人間教育、精神教育も含めた基礎教育のことだ。
基礎教育さえ間違いのないものであれば、その後いくらでも成長していけるからである。
その中学・高校教育には、2つのタイプがある。1つは「ボトムアップ方式(底上げ方式)」、もう1つは「プルアップ方式(吊り上げ方式)」だ。