2011年1月号掲載
BCG流 競争戦略 加速経営のための条件
Original Title :ACCELERATING OUT OF THE GREAT RECESSION:How to Win in a Slow-Growth Economy
著者紹介
概要
リーマン・ショック以降、世界経済は長引く低成長時代に突入した。その結果、各国の政府や産業界、さらには消費者も大きく変貌しつつある。本書は、こうした時代に企業が成功するためのヒントを提供するもの。景気低迷期の企業を襲う“新しい現実”について明らかにした後、その厳しい環境下で勝ち残るために必要な、「守り」と「攻撃」の戦略を解説する。
要約
新たな現実
今回の金融恐慌とそれが引き起こした混乱は、まさに前代未聞のものであった。
世界経済のいくつかの重要な要素は根本的に変わった。そして、今後も元には戻らないだろう。
世界経済は長引く低成長時代に入り、これから大きな変化が様々な分野で起きる。そうした変化が相まって、「新たな現実」を生み出す。
それは、例えば、次のようなものだ。
干渉主義的政府の再来
1980年代以降、米国のロナルド・レーガンと英国のマーガレット・サッチャーに始まった自由化、規制緩和、民営化の波が世界各国に広がった。
だが、この流れに急ブレーキがかかった。金融恐慌の影響で、各国政府が積極的な介入、干渉主義を取るようになったからだ。
各国政府は今後も、財政出動、低金利の維持などによって、経済の安定化を図り続けるだろう。今後何年も、大型の財政出動が続くのは確かだ。
そしてそれは、増税やインフレ政策を追求する動機になる。増税となれば消費者支出が落ち込む。
さらに重要なのは、いくつかの先進国で「再工業化」の試みを進めていることだ。先般の経済過熱の特徴は「サービス経済化」だったが、サービス業だけでは経済は行き詰まると自覚した一部の国は、環境技術などの新産業に集中投資している。
今後、製造業の振興策についての各国政府の関心は深まるだろう。それは、投資関連の税制優遇措置などを通じて実施されるだろう。
また、先進国経済が厳しい圧力にさらされている今、経済的移民にブレーキがかかり始めた。