2011年4月号掲載
マネジャーの実像 「管理職」はなぜ仕事に追われているのか
Original Title :MANAGING
- 著者
- 出版社
- 発行日2011年1月29日
- 定価3,080円
- ページ数444ページ
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著者紹介
概要
最近、ビジネスの世界ではリーダーシップがもてはやされ、偉大なリーダーの成功談をよく聞く。しかし、著者は言う。リーダーシップはマネジメントの一部であり、まずはマネジメントへの理解を深める必要があると。本書では、そのスタンスの下、様々なタイプのマネジャーの仕事ぶりを観察した著者が、マネジャーの実態、そしてマネジメントのあるべき姿を描く。
要約
マネジメントがいちばん大事
誰もが組織を無視して生きられない現代社会において、マネジメントは重要なテーマだ。
以下、マネジメントおよびマネジャーに関わる重要な問題について述べていくが、その前にまず、マネジメントをありのままに見るのを妨げる、3つの「神話」を打ち砕いておこう。
神話:マネジメントはリーダーシップと別物である
近年は、リーダーとマネジャーを別物と考えるのが大流行だ。
その主張によると、リーダーとは正しいことをする人間であり、変化に対応するのが役割。一方マネジャーとは、物事を正しく行う人間であり、日々の面倒な業務に対応するのが役割だという。
だが、この区別にどの程度の意味があるのか。例えば、あなたはリーダーシップを振るわないマネジャーの下で働きたいだろうか。そのような人物は部下の士気を鼓舞できない。
カナダ・ロイヤル銀行の会長は、故障したATMを見つけると本社に電話することで知られる。彼は細かいことまで指示しすぎるマネジャーなのか。恐らく本人としては、小さな問題にも常に目を光らせるべし、という手本を示しているのだろう。
パナソニックの創業者、松下幸之助は言う。「大きなことと小さなことに対処するのが私の仕事、中程度の問題は部下に任せればいい」と。
リーダーは、マネジメントを他人任せにしてはいけない。マネジャーはリーダーでもあり、リーダーはマネジャーでもあるべきなのだ。
神話:マネジメントはサイエンス、専門技術である
マネジメントはサイエンスでもなければ、専門技術でもない。マネジメントは実践の行為であり、主として経験を通じて習得される。
マネジメントの目的は、組織の中で物事を成し遂げる後押しをすることだ。従って、マネジャーはありとあらゆる知識を動員しなければならない。
物事を分析する上でサイエンスに基づく手法は欠かせない。だが、マネジメントを成功させるには、サイエンス以上にアート(創造的発想)の要素が必要だし、クラフト(技)の要素が不可欠だ。