2012年1月号掲載
人材を活かす企業 「人材」と「利益」の方程式
Original Title :The Human Equation:Building Profits by Putting People First
著者紹介
概要
長らく絶版となっていた名著『人材を生かす企業』(1998年刊)の復刊! 企業が高収益を上げるためには、戦略よりも社員の能力形成に努力を払うべき。こう主張する著者が、「人材重視型経営」について説く。人材を活かすことの重要性、そして具体策。それを、サウスウエスト航空など、効果的な人材管理で好業績を上げている企業の事例を引きつつ述べる。
要約
組織力を高めるための7つの条件
企業の成功は、企業独自の価値を顧客に提供できるかどうかで決まる。
そして、顧客に価値を提供する能力は、顧客のニーズや価値観を正しく把握し、価値を創造するための優れた人材活用から生まれる。
また多くの場合、優れた戦略を立案するよりも、それを実現する方がはるかに重要であり、難しい。
1990年代初め、ユナイテッド航空はある問題に直面した。ライバルのサウスウエスト航空が、カリフォルニア市場でシェアの5割を握ったのだ。
ユナイテッドは戦略分析を行い、対抗するための戦略を立てた。それは、サウスウエストの低価格、サービス、外観を真似ることだった。
サウスウエストと同様、地上スタッフはショートパンツ、ポロシャツの制服を着た。旅客機はボーイング737だけになり、運賃も引き下げられた。この戦略は、一見、成功するかに見えた。
だが、ユナイテッドの戦略は実現しなかった。航空便は時間通りに運航せず、乗務員のサービスも低下した。サウスウエストの低コストに対抗できず、多くの路線から撤退するはめになった ―― 。
戦略は、実現しなければ価値がない。そして、戦略を実現するのは人である。企業の人材活用、従業員のスキル、能力、自立性、努力が、戦略の実現可能性を左右する。
人材管理の改善は、戦略を立案するより難しいかもしれない。しかし、効果は絶大である。
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人材重視の経営を行い、成功している企業は、組織力を強化するための取り組みを行っている。