2012年5月号掲載
脳と心の整理術 忘れるだけでうまくいく
著者紹介
概要
脳科学者の茂木健一郎氏によれば、「人生がうまくいかないことの多くは、過去を忘れられないことにも原因がある」。人間関係のトラブルに悩む、災害に遭う…。辛い、嫌な体験をした時は、上手に忘れることで前向きになれる。そう述べ、「忘れる」ことの大切さ、そして、ムダなことを忘れて心を軽くし、未来に向けて歩むための脳のトレーニング法を説く。
要約
心を整理する練習
多くの現代人が、「忘れる」ことを不得手とするあまり苦しんでいる気がする。
忘れることは大切だ。忘れることができれば、脳の中はスッキリ整理され、心が軽くなって前向きに生きることができる。
マイナスの道路の横にプラスの道路を作る
失恋、仕事上の失敗、人間関係のいざこざ、このようなネガティブな経験は誰にでもあると思う。
こうしたネガティブな記憶をなかなか忘れられないでいると、人生に対して積極的になれなかったり、他者を恐れるあまり、人と関わることに消極的になってしまうかもしれない。
現代の科学では、心と脳はイコールの関係にある。つまり「心の問題=脳の問題」となる。さらに、脳と身体は繋がっている。ということは、「心の問題=脳+身体の問題」といってもよい。
脳の働きを知ることは、心や身体の問題を解決することでもあるのだ。
ネガティブな経験をすると、脳の中にはネガティブな経験の回路ができ上がる。そして、一度作られた回路は消えることはない。
では、どうやってネガティブな経験を忘れることができるのか。それには、ネガティブな回路の横に、ポジティブな回路を作ってあげるしかない。
イメージとしてはこうだ。ネガティブな経験をすると、脳の中にはマイナス思考の道路が作られる。そして事あるごとに、感情という名の車がその道路を通ることになる。しかしそれを繰り返し続けると、そのうちマイナス思考の道路はネガティブな感情による渋滞で前に進まなくなる。
そこでその道路の脇に、もう1本別のポジティブな道路を作ってあげるのだ。そして、たまにはポジティブ道路をドライブするのである。
そこで楽しいことや、幸福な思い出を味わうことで快適なドライブができたならば、今度から新しく入ってくる感情という名の車をそちらに誘導してしまえばいい。