2012年8月号掲載
グローバル・エリートの時代 個人が国家を超え、日本の未来をつくる
著者紹介
概要
「グローバル化」の必要性が叫ばれて久しい。だが、十分に変革ができている日本企業は多くない。新興国の存在感が高まる中、グローバル化において一歩先んじている諸外国の企業に対抗するには、いかなる変革を進めればよいのか。今後、日本企業が目指すべきグローバル化の方向性を示し、組織のグローバル化の必要性、グローバル人材の育成について詳述する。
要約
「グローバル採用」の衝撃
2010年頃から、新聞などで「グローバル採用」という言葉を頻繁に目にするようになった。
この言葉は、日本企業の新卒採用において、国内の4年制大学を卒業した日本人ではなく、海外の大学に留学経験を持つ日本人や日本に来ている留学生を中心に採用することを指している。
例えば、パナソニックでは、2011年度の新卒採用枠1390人の8割にあたる1100人を、ユニクロも2012年に採用する1300人のうち、やはり8割の1050人を外国人とすると発表した。
それ以外にも、東芝、シャープなど多くのメーカーが、留学生や外国人の採用を強化している。
グローバル採用が生み出す変化
これらの企業は急に外国人の採用を始めたわけではない。過去にも外国人を海外で採用している。ではなぜ、グローバル採用などと大騒ぎするのか。
実はグローバル採用の本格化に伴い、次の2つの点が大きく変わる。それによって、日本企業の組織運営の仕方も大きく変わらざるを得ない。
1つは、外国人従業員数が今までとは比較にならないほど増加するという、「量」の違いだ。
パナソニックやユニクロでは、10年もしないうちに外国人の数が日本人の数を上回るだろう。そうなると、従来の組織運営では回らなくなる。
もう1つは、「質」の違いである。
今後は、外国人を海外の工場や販売拠点の平社員として終わらせるのではなく、経営幹部になるよう育てていくようになる。
日本企業がグローバルに成長し続けるためには、経営判断を行える人材を複数の新興国市場に分散させる必要があり、外国人を経営幹部に育てていくことが不可欠になってきているのだ。