2012年10月号掲載
ホウレンソウ禁止で1日7時間15分しか働かないから仕事が面白くなる
著者紹介
概要
上司への「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」は禁止。残業も原則禁止で、休暇は年間140日。それでいて、1965年の創業以来47年間赤字なしという未来工業の創業者が、同社の成功の秘訣を語った。製品開発の権限や責任は担当者に与える、ヒット製品でも毎年何らかの改善を行う、等々の事例を挙げつつ、全社員が実践する「常に考える」仕事術を披露する。
要約
「常に考える」仕事術
昨年、『カンブリア宮殿』という人気TV番組に出演した際、司会の作家・村上龍さんがとてもホメてくれた。「常に考える」という、私が創業した未来工業のスローガンのことを、だ。
村上さんは「常に考えろ」という命令形ではなく、「常に考える」という現在形であるのが、とてもいいと言ってくれた。
確かに、普通なら「常に考えろ」とするだろう。だが、経営者や上司が命令しているうちは、自分の頭で考え、行動する社員は育たない。
社員1人1人が自分の頭で常に考え、実行してみる。もし失敗すれば、すぐに改める。それを繰り返すことで、初めて考えることが身につく。
それが未来工業の考え方で、社内では「未来イズム」と呼んでいる。
1日7時間15分しか働かない幸せと大変さ
未来工業は午前8時半始業で、午後4時45分退社。1時間の昼休みを除けば、就業時間は毎日きっかり7時間15分だ。残業は原則禁止。
残業禁止の理由だが、ドケチとして有名な私としては、残業手当は基本給の25%割り増しにもなるから、できる限り払いたくない。
ただし、定時に帰ることを奨励するようになったのは、残業代のせいだけではない。他の会社みたいに仕事に始終追われ、一度きりの人生を棒に振るような人間になってほしくないからだ。
家族揃って夕食をとれたり、平日の夕方から彼女とデートもできたりする。そんな日々への感動が、いつか必ず仕事のやる気に結びつく。
しかし労働時間が短いことは、社員たちにとって、いいことばかりではない。7時間15分しかないのだから、かなり効率的に働く必要がある。
ここが7時間15分のミソ!