2013年6月号掲載

会社の老化は止められない 未来を開くための組織不可逆論

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著者紹介

概要

人間と同様、会社は生まれた時から老化の一途をたどり、若返ることはない。老化が始まると、定例会議やルールが増える。手段の目的化が進む。ルーチンワークがクリエイティブワークを駆逐する。絶望的ともいえる組織の老化現象。これを乗り越える道はあるのか? 長年にわたる会社の観察結果を基に、会社が持つ様々な不可逆性を説明し、老化への対処法を示す。

要約

会社の営みは「老化との戦い」

 人間と同様、会社は生まれた瞬間から老化が始まる。さらにいえば、会社の営みを一言で表現すれば、「老化との戦い」ということもできる。

 では、「会社が年を取る」とはどういうことか。

 人間とのアナロジーでイメージを示すと、生まれたてのスタートアップ企業は「赤ん坊」だ。それが徐々に大きくなってベンチャー企業として周知され、さらに年月を経て大企業になる。

 大企業が「大人」だが、中でも成熟した産業の伝統的巨大企業が、いわば「老人」といえる。

会社は暗黙のうちに「不老不死」を信じている

 ただ一点、人間と会社では違う部分がある。

 それは、「人間の老人には不老不死を信じて永久に生きながらえようとしている人はいないのに、会社に関しては不老不死をほとんどの人が暗黙のうちに信じている」という点だ。

 人間の場合は、若い頃と年を取ってからでは見た目が異なるから、本人も周囲も老化を認識する。だが、会社で起こっている老化には気づきにくい。

 それは「老化プロセス」は「成長プロセス」からつながるプロセスだからだ。つまり、成長の延長線上に老化があるため、気づきにくいのである。

物理的側面と心理的側面

 例えば「ルールや規則は増える一方」「顧客意識は薄まる一方」というように、会社の老化は一方通行の不可逆プロセスとして進行していく。

 なぜ、会社は不可逆プロセスをたどるのか? これには、物理的な側面と心理的な側面がある。

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