2013年6月号掲載

日本の文化 本当は何がすごいのか

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著者紹介

概要

アニメ、ファッションなど、最近流行の「クール・ジャパン」の真髄に、美術史の国際的権威が迫った。自然や信仰、芸術等、西洋と日本の違いを比較しつつ、日本文化を貫く原理を説き明かす。自然を支配するのではなく、自然を受け入れる ―― 島国の日本ならではの“自然信仰”は理想的な思想で、世界の中心的思想になり得るなど、目から鱗の新視点が示される。

要約

日本文化のすごさの源泉

 日本の文化について語るには、その歴史はもちろんのこと、最初に自然環境の特殊性をしっかり押さえておくことが重要である。

 日本という国の輪郭、文化の拠って立つ基盤には、自然環境が大きく影響しているからである。

 まず、何といっても日本は島国だということ。そのことの何が重要なのかというと、簡単に攻められないということだ。他民族が日本に入ろうとしても、海を渡ってこなくてはならない。それには大変な努力や工夫が必要になる。最低でも、海を渡りきるだけの船をつくらねばならない。

 それができない人々は日本には来られず、そうした才能、組織力を持つ人々がやってきたのだ。

 日本人の優秀性というと何だが、およそ1万年前に日本列島が大陸と離れた後は、一貫してそういう日本の特殊性があったわけである。

大移動と侵略が繰り返されてきたヨーロッパ

 一方、大陸は日本とどういう違いがあるのか。これはヨーロッパの歴史をたどれば、すぐわかる。

 ヨーロッパにも、古くは原始民族、原ヨーロッパ人といわれる人たちがいた。彼らは移動しながら、洞窟などに隠れて住み、互いに侵略し合った。

 古代ローマの英雄カエサルが記録した『ガリア戦記』や歴史家タキトゥスが著した『ゲルマニア』にも、古代ローマ人以前に、ケルト人やゲルマン民族などがいたことが記されている。

 要するに、ヨーロッパの歴史では「大移動」と「侵略」がずっと繰り返されてきた。

島国と大陸では人間観が異なる

 大陸と日本を対比すると、日本の文化を考える上で重要な視点が見えてくる。それは、島国と大陸という異なる自然条件のもとでは、それぞれの人間観も自ずから異なってくるということだ。

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