2013年7月号掲載
経営危機には給料を増やす! 世界一企業をつくった「天邪鬼経営」
著者紹介
概要
激しさを増す世界的な競争の中で生き残り、高収益を上げる。そのカギは、「天邪鬼経営」にあり! アナリストとして多くの世界一企業を見てきた著者が、他社の模倣をするのではなく、わが道を往く、天邪鬼経営について解説する。経営危機には給料を増やす、大型発注は断る、稼働率は低くする…。常識にとらわれない、ユニークな経営手法の数々が披露される。
要約
「天邪鬼経営」のすすめ
産業構造を変えた偉人は、他人と違う発想で常識を疑い、新たな発想を持ち込むことで成功した。
宅急便を確立した小倉昌男氏、コンビニエンスストアを創った鈴木敏文氏などは、その代表例だ。
その他、ファナック、キーエンス、ヒロセ電機、コーセル、エーワン精密なども、他人と違う思考をする企業であり、高い業績を上げている。
世界が「平坦」になったことで、あらゆる国が入り乱れての世界競争を迫られている。
事業コストや発展段階が異なる国々との競争を迫られる中で、人件費・光熱費・税制・政治など多くの点で明らかに不利な日本企業は、常識的な発想では生き残りは難しくなっている。
アジア企業に追われる立場になった今となっては、常識を疑い、独自の地位、個性的な差異化要因を確立することが必須となっている。正面競争するのではなく、競争を「ずらす」必要がある。
そこで、常識を疑い、自分の行き方を貫く「天邪鬼経営」を提唱したい。
「天邪鬼」を辞書で調べると、「わざと人に逆らう言動をする人。つむじまがり。ひねくれ者」とあり、言葉の印象は決して良くない。
しかし、需要が成熟した時代には、人と違うことを目指す天邪鬼経営が有効だ。例えば ――
経営危機には給料を増やす
業績が厳しくなると、企業はリストラをする。リストラに限らず、明日を守るためにやむを得ず明後日を犠牲にする経営は、珍しくない。
一方、天邪鬼経営者は、明日を犠牲にしても明後日を考える経営を行う。