2013年8月号掲載

「低成長優良企業」を目指す 経営幹部の思考と行動

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著者紹介

概要

「低成長優良企業」。これは、あえて低成長を経営の方針として、着実に成長を続け、長く存続する企業を意味する。幹部教育の第一人者である著者によれば、そうした企業になるためのカギは3つ。外向き・内向き変幻自在の「組織力」、指導力・統率力・行動力等からなる「上司力」、社員の「帰属意識」だ。これらをいかにして高めるか、豊富な経験を基に説く。

要約

潰れない会社にする法

 50年以上、連続増収増益を続ける中堅食品メーカーがある。

 創業者である70代の会長は、教えを請いに訪れる若い社長たちに「会社を大きくしようと思うな、拡大を目標にしてはいかんぞ」と諭している。

 会社は成長が遅いほどいい。何百年も生きる杉の木のように年輪を刻んでゆっくりと少しずつ伸びる方がいい。会長が言う「会社を大きくするな」は、こういう意味である。

 以前、健康志向とダイエットのブームで商品が脚光を浴び、注文が殺到した時も、工場を新設したり、人を増やしたりせず、注文を断った。

 「拡大よりも内部の充実が優先する。そのために人を育てる。必然的に低成長になる。これが会社の理想である」。これが経営哲学なのだろう。

 この会社の商品は国内シェア80%、年商は約170億円、社員数は400人以上。会長は「これは50年間低成長を続けてきた結果です」と言う。

 では、会長は50年間、何をしてきたのか?

①社員教育に力を入れた

 初期のまだ社員が少ない頃から教育に力を入れた。技術や資格を身につける能力開発。仕事の基礎になる、話す、聞く、読む、書く、考える力の養成。組織人としての行動の仕方、リーダーシップ教育。こうした教育研修を間断なく行ってきた。

②家族的経営を実践した

③会社の数字を公開した

 全社員が会社の経営状態を数字で把握している。

④社員の待遇をよくした

 新卒の初任給は地域の最高額。賞与は夏冬2回の他、利益の3分の1を還元する決算賞与がある。

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