2013年11月号掲載
図解 90分でわかる! 日本で一番やさしい「財政危機」超入門
著者紹介
概要
安倍内閣の経済政策「アベノミクス」は、日本企業を苦しめていた円高を解消するなど、一定の成功を収めている。だが、実はアベノミクスには、1つの大きなリスクがある。それは、国が抱える1000兆円以上もの借金。下手をすれば、日本は財政破綻に陥りかねない。この財政問題について、経済の知識のない人でも理解できるよう、基本からわかりやすく解説する。
要約
日本の「財政危機」とは
安倍晋三首相が就任後、打ち出した経済政策は「アベノミクス」と呼ばれ、基本的には市場はこれを歓迎している。
一方で、異論も少なからず存在する。
その多くが、「アベノミクスは日本を財政破綻に追い込みかねない」と主張する。しかし、日本の財政破綻など、本当に起きるのだろうか?
国の財政は、大赤字
平成25年度予算の国の収入(歳入)と支出(歳出)を見ると、歳出が92兆円以上になるのに、「税金及び印紙収入」は43兆円しかない。
これに国有地の売却費などの税外収入を足しても、47兆円ほどにしかならず、必要なお金に約45兆円も足りていない。
収入が足りない分は、国債という債券を発行し、これを投資家に買ってもらって調達している。
国債というのは借金なので、満期が来たら返済しなくてはならない。これらの元本を返すお金と利払いを合わせた「国債費」が、平成25年度予算の場合、約22兆円にも上っている。
約45兆円の借金のうち、約22兆円を返済分にあてようとしているのだ。これは、日本の財政が火の車であることを如実に表している。
日本の財政赤字は今に始まったことではない。1970年代以前から赤字の状態が続いていたが、バブル期までは税収も伸びていたので、毎年の借金は今と比べると低い水準にとどまっていた。
しかしバブル崩壊以降は、歳出は右肩上がりが続いているにもかかわらず、税収は右肩下がりの状況が続き、両者の差は広がる一方だ。
ここ数年、その差を埋めるために、国債が以前にも増して大量に発行されるようになった。