2013年11月号掲載
話を聞かない男、地図が読めない女 男脳・女脳が「謎」を解く
Original Title :Why Men Don't Listen and Women Can't Read Maps
著者紹介
概要
「男と女の謎」を解き明かし、大きな話題を呼んだベストセラー。男は一度に1つのことしかできない、女は方向音痴、男は女に比べて会話がへた…。同じ人間なのに、なぜこうも男女の行動に違いがあるのか、男女の脳の特徴を、誰もが思い当たる日常的な行動に結びつけてわかりやすく説明する。異性のこと、さらに自分自身を深く理解する上で役立つ1冊である。
要約
男と女は、役割が違う
男と女は違う。どちらが優れている、劣っているということではなく、ただ違う。住んでいる世界も違えば、価値観もルールも違う。
その証拠に、欧米諸国では結婚した男女の約半数が離婚する。世界のどこでも、男と女は互いの意見や行動、態度、信念を巡って言い争っている。
だが、はるか昔、男と女は仲良く暮らしていた。
男は危険だらけの外界に出かけ、生命を賭けて食べ物を手に入れる。それを女と子どもに食べさせ、猛獣や敵から家族を守らねばならなかった。その結果、長い距離を自由に動き回る感覚が発達し、弓矢の腕も上がった。男の職務内容を一言で表せば、メシの調達係。それが男の役回りだった。
女の役割も明確だった。子育てが任務であり、それに見あった能力を発達させていった。家である洞穴の周辺に危険はないか監視し、子どもの世話をしたり、果物や木の実を集めたり、同じ群れの女たちと一緒に過ごしたりして1日を送る。
こうした時代が、何十万年も続いた。
1日が終わると、狩人たちは獲物を持って帰ってくる。獲物は平等に分配され、同じ洞穴に暮らす仲間と一緒に食べる。食事を終えると、狩猟で疲れきった男たちは、翌日に備えて休養しなければならない。女たちは子どもを世話しながら、男がゆっくり休めるよう気を配る。
ここでは、男も女もお互いの貢献を認めている。男は寝転んでいても粗大ゴミ扱いされないし、女は「私は家政婦じゃない」と憤ることもない。
オーストラリアのアボリジニー、グリーンランドのイヌイットらは、今もこのようにシンプルな暮らしをしている。そこでは、男は女の価値を、女は男の価値を認めていて、お互い肩代わりできない貢献をしていることがわかっている。
しかし文明化された現代社会に生きる男女は、古来からのルールをどこかに置いてきてしまった。
男も女も、自分と同じようにふるまうことを無意識のうちに相手に期待している。だから、関係がおかしくなってしまうのである。