2014年4月号掲載
事業創造のロジック ダントツのビジネスを発想する
著者紹介
概要
副題は「ダントツのビジネスを発想する」。電子書籍端末キンドルで出版界に革命を起こしたアマゾン、事業所向け弁当ビジネスで日本一の「玉子屋」等、“ダントツ企業”を例に、ビジネスを創造・発展させるためのポイントを説く。特に注目するのは、ビジネスモデルに埋め込まれたロジック。すなわち会社を動かす「考え方」をたどることで、その強さの秘密を明かす。
要約
出発点
経営学の理論や手法を生かすために大事なことは、それを使おうとする人の「考え方」である。
どういうロジックを組み立てて、ビジネスモデルに埋め込んでいくか。そのロジックが適切かどうか。それが重要である。
ダントツに成功する企業は、ロジックが明確である。それがビジネスモデルに反映して、現実のビジネスシステムがうまく駆動している。
ジョブの再定義
例えば、電子書籍端末キンドルによって、本の世界に革命を起こしているアマゾン。
キンドルの成功は、ビジネスモデルの勝利だ。アマゾンは、電子書籍で先行していたソニーなど他社とは全く違うビジネスモデルをつくり上げ、キンドルを一気に普及させることに成功した。
キンドルは技術的には新しくない。ソニーの電子書籍端末「リブリエ」を真似たともいわれる。
だが、キンドルにはリブリエと決定的に違うことが1つあった。それは通信モジュールの内蔵だ。
なぜキンドルは通信モジュールを内蔵したのか。それは、電子書籍の「価値」を見直したからだ。別の言い方をすると、「ジョブ」を再定義した。
ジョブというのは、ターゲット顧客が抱えている重要なニーズ、重要な問題を意味する。
商品やサービスではなく、解決すべきジョブの方を先に考えるべきであるというわけだ。「5インチのドリルを買う客は、5インチのドリルが欲しいのではなくて、5インチの穴が欲しいのである」という有名な箴言をご存じの方も多いだろう。
アマゾンはキンドルのジョブをこう再定義した。