2014年4月号掲載
GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代
Original Title :GIVE AND TAKE
著者紹介
概要
利益を総どりできる強者こそが勝つ、という。だが、果たしてそうか。気鋭の組織心理学者が、人間を「ギバー(与える人)」「テイカー(受けとる人)」「マッチャー(バランスをとる人)」の3タイプに分類。それぞれの特徴と可能性を分析し、一番成功するのはギバーであることを明らかにする。情けは人のためならず。相手を思いやることこそが、成功のカギだ!
要約
「与える人」が成功者となる
成功とは、勤勉で、才能があり、かつ幸運な人々によって達成されるものである。
しかし、もう1つ、極めて重要な要因がある。成功とは、人とどのように「ギブ・アンド・テイク」するかに大きく左右されるということだ。
私たちの社会は、人々が密接に結びつき、そこでは人間関係と個人の評判がますます重要になっている。そして誰かと関わるたびに、こんな選択をすることになる ―― 相手からできるだけ多く価値あるものを受けとるべきか、それとも見返りを気にせず価値あるものを与えるべきか ―― 。
私は、10年以上、グーグルから米空軍に至るまで、組織におけるこうした選択について研究してきた。そしてわかったのは、この選択こそが成功に決定的な影響を及ぼすということだ。
テイカー、ギバー、マッチャー
わかりやすく説明するために、両極端に位置する2種類の人々について見ていこうと思う。
一方を「テイカー(受けとる人)」、もう一方を「ギバー(与える人)」と呼ぶことにする。
テイカーは常に、与えるより多くを受けとろうとする。ギブ・アンド・テイクの関係を自分の有利になるようにもっていく。世の中は食うか食われるかの熾烈な競争社会で、成功するには、人より上にいかなければならないと思っている。
ギバーは、ギブ・アンド・テイクの関係を相手の利益になるようにもっていき、受けとる以上に与えようとする。テイカーが自分を中心に考えるのに対し、ギバーは他人を中心に考え、相手が何を求めているかに注意を払う。言い換えれば、見返りを期待せず相手を助けるということだ。
職場以外では、このタイプの行動をする人はざらにいる。ある調査によれば、親密な人間関係ではたいていの人がギバーとして振る舞うという。
しかしいざ職場となると、ギブ・アンド・テイクは複雑なものになる。仕事においては、ギバーかテイカーかにはっきり分かれることはほとんどなく、たいていの人が第3のタイプになる。
それが、与えることと受けとることのバランスをとろうとする「マッチャー」だ。