2014年5月号掲載
世界のエリートがIQ・学歴よりも重視! 「レジリエンス」の鍛え方
著者紹介
概要
「レジリエンス」とは、失敗することへの恐怖心を消し、一歩前に踏み出す力のこと。いわば“逆境力”。本書は、このレジリエンスを解説するとともに、その鍛え方を説く。紹介されるトレーニング法は、欧州で生み出されたもので、認知行動療法やポジティブ心理学などの研究・手法を統合したもの。IBM等のグローバル企業も注目し、研修に取り入れているという。
要約
「レジリエンス」を鍛える7つの技術
私は世界クラスのエリートと呼ばれる人たちとともに働く機会に恵まれてきた。そこでエリートには大きく分けて2種類存在することを知った。たくましいエリートと脆いエリートだ。
心理的なたくましさがあるエリートは、継続的に成果をあげ、競争に生き残り、成功を収める。
その一方で、難しい仕事を任せると精神的な脆さを見せ、挫折してしまう人もいる。
なぜこのような差が生まれるのか。その違いは何か。私は、「レジリエンス」だと考えている。
レジリエンスとは、もともと環境学で生態系の環境変化に対する「復元力」を表す言葉として使われていた。それが現代心理学で、人の「精神的な回復力」を示す言葉として使われ始めた。
アメリカ心理学会では、レジリエンスのことを「逆境やトラブル、強いストレスに直面した時に、適応する精神力と心理的プロセス」と説明する。
失敗を怖れて行動回避する癖を直し、失敗して落ち込んだ気持ちから抜け出し、目標に向かって前に進むことのできる力、それがレジリエンスだ。
このレジリエンスを鍛えるための技術がある。それは、次の7つだ。
①ネガティブ感情の悪循環から脱出する
レジリエンスでは、失敗や困難な体験でネガティブな感情が生まれたら、無視も抑圧もせずに、まずは感じ取ることを大切に考える。感情を適切に感じ取れれば、ネガティブな感情が過剰に繰り返される前に、その入り口で対処できる。
なぜそれが大切なのか。それは、ネガティブな感情は反芻すると、ネガティブな行動や高血圧、心臓病などの体の健康リスクにもつながるからだ。
例えば、相手が自分を傷つけるようなことを言った時、怒りを感じて当然だ。ただ、その感情に囚われて、怒りの感情が自分の中で反芻されると、恨みつらみとなり自分が縛られることになる。