2014年7月号掲載
難題解決の達人たち 即効策はなぜ効かないのか
Original Title :THE SLOW FIX ―― solve problems, work smarter and live better in a fast world
著者紹介
概要
「スロー・フィックス」が、本書のキーワード。時間をかけて忍耐強く、問題を根本から解決する方法を意味する。政治、外交、ビジネス…、様々な問題が複雑になり、生半可な解決策では対応が難しい今日、力を発揮するのは即効策ではなく、“遅効策”。長期的な視点で受刑者の更生を図るノルウェーの刑務所をはじめ、各種事例を交え、スローな解決の極意を説く。
要約
問題解決は「スロー・フィックス」で
今日、あらゆる社会階層、あらゆる分野で、誰もが皆「即効性」「即効策」を追い求めている。
政治家は、次の選挙までに何か結果を出さねばならない。不安定な企業は即座にアクションプランを打ち出さないと、市場はパニックを起こす。
ウェブサイトには、性生活を生き返らせる妙薬、あなたの理想の男性を見つけるアプリ等々、あらゆる問題の手っとり早い「解決策」を約束する広告があふれている。
即効策は役に立たない
あらゆる即効策が囁きかけてくるのは、「最小の努力で最大の結果を」という魅力的な約束だ。
ただし残念なことに、この方程式は計算が合わない。実際、考えてもみてほしい。万能のアプリなど本当にあるのか? もちろんありはしない。
即効策は何の解決にもならない。余計に事態を悪化させることすらある。
企業が、低迷する株価を押し上げろといった圧力を受けた時、反射的に頼る手段がリストラだ。
しかし急いで人員を整理したところで、良い結果が出ることはめったにない。会社は空洞化し、残った社員はやる気を失う。そして、根深い問題は往々にして手つかずのままだ。
結論ははっきりしている。即効策に頼るのは正しい選択ではないということだ。
スロー・フィックスの時がやって来た
健康、政治、教育、人間関係、ビジネス ―― どこを向いても、私たちの直面する問題は以前より複雑に、そして切迫したものになっている。
最低最悪の結果を出すことはもはや許されない。生半可な解決策や、一時逃れの手段に頼りたいという誘惑に抗い、ちゃんと物事を解決し始める時がきた。あらゆるタイプの問題に取り組むための、新しく優れた方法を見つけなくてはならない。