2014年8月号掲載
日本人の9割は正しい自己紹介を知らない 世界標準の仕事プロトコールの教科書
著者紹介
概要
世界で通用するビジネスパーソンになる方法。それは「世界標準のコミュニケーション上のルール」を身につけること! 外交官などとして、120カ国以上の人々と交流してきた著者が、自らの体験などを基に、日本と世界標準のコミュニケーションの違い、効果的な自己PRのルールなどを解説。グローバル時代の今、説かれるノウハウは、国内で働く人にも有用だ。
要約
世界標準のプロトコール8原則
「三菱商事の鈴木です」―― ビジネスの現場でこのような形の自己紹介をしていないだろうか。
会社名から入る自己紹介は、日本国内では一般的だが、海外であれば実はダメである。
問題は、自分の会社をまず言っている点だ。これは、専門性や個性を大事にする世界標準の「プロトコール」(コミュニケーション上のルール)と齟齬がある。
外務省のホームページによると、プロトコールとは、「国家間の儀礼上のルールであり、外交を推進するための潤滑油」とされている。これをビジネスの視点で捉え直すと、「国を超えてビジネス展開するビジネスパーソンのビジネス人間関係構築上のルールや作法」と言い換えられる。
世界標準のプロトコールでは、「I am」スタイル(私は~である)が正しい。例えば ――
「私は鈴木健二です。健二と呼んでください。中東やアフリカでの資源開発を長く担当してきた資源・エネルギーのプロです。あっ会社名ですか? 会社は三菱商事です」
世界標準のプロトコールを知っていれば、世界で通用するビジネスパーソンに大きく近づく。
プロトコールには、現在のグローバルビジネスに通じるものとして、次の8つの原則がある。
①相手の国・民族を心から尊敬する
お互いが相手を尊敬できる状態にまでなって、初めて真の関係が生まれる。相手に対して尊敬を持つ、自分に対して尊敬の念を持ってもらう、そのレベルまで到達することが重要だ。
例えば、相手国が小国であるとか、経済的に遅れているということで見下したような発言をするのは、絶対にNGである。
新興国に進出している日本企業で現地での業績が上がらない企業の場合、現地駐在員が現地の人々を見下している例が多数ある。