2014年12月号掲載
組織が動くシンプルな6つの原則 部門の壁を越えて問題を解決する方法
Original Title :Six Simple Rules:How to Manage Complexity without Getting Complicated
著者紹介
概要
組織力を高めるため、企業は、組織体制や報酬制度などの“ハード”をいじったりする。だが、ビジネスの複雑性が増す今日、こうした手法はもはや時代遅れ。組織能力を向上させるカギは従業員の「協働」だ、とボストン コンサルティング グループのシニア・パートナーたちは指摘。部門の壁を越え、組織をスムーズに動かす上で基盤となる「6つの原則」を説く。
要約
6つのシンプル・ルール
これまで40余りの国々で、あらゆる産業の企業の経営をお手伝いしてきた。振り返ると、それらの企業の幹部は、ほぼ同じ難問に直面していた。
その難問とは、それぞれの業務における「複雑性の増大」だ。簡単に言えば、達成すべき戦略目標の種類が増えているということだ。
彼らの組織の支援を通して、私たちは本書で述べるアプローチを現場で試してきた。「スマート・シンプリシティ」と名づけたこのアプローチの要は、6つの「シンプル・ルール」である。
これは、経営者が事業の複雑性に効果的に対応するための方法で、次のようなものだ。
【ルール①】従業員の行動を理解する
今日の組織では、従業員が実際にどんな仕事をしているのかをマネジャーが知らないことが往々にしてある。これは問題である。
なぜなら、従業員が何をしているのか理解していないと、マネジャーは組織のパフォーマンスがどうしてそうなっているのか理解できないからだ。
従業員が何をしているか、そしてなぜそのようなことをしているのかを理解することは基本中の基本であり、これこそがシンプル・ルール①だ。何らかの打ち手を講じる前に、まずこのルールを適用すれば、多くの時間と金の節約になる。
私たちが、インターロッジ社という会社のホテル部門のパフォーマンス改善を支援した時の話をしよう。
同社は収益性が低く、客室稼働率も、一部屋当たりの平均宿泊料金も目標に達していなかった。
私たちは1カ月間、レセプション・スタッフを観察した。そして彼らの一番の悩みは、顧客の苦情にどう対処するかということだと気づいた。顧客からの苦情はたいてい、テレビが故障している、といった設備の保守管理に関する問題だった。
原因の1つは、客室清掃係が自分に課せられた生産性目標の達成に集中するあまり、問題に気づかなかったり、気づいても設備管理係に連絡しなかったりすることだった。やりとりに手間暇がかかるため、問題に気づいても無視したのだ。