2015年2月号掲載
自爆する若者たち 人口学が警告する驚愕の未来
Original Title :SOHNE UND WELTMACHT:Terror im Aufstieg und Fall der Nationen
- 著者
- 出版社
- 発行日2008年12月20日
- 定価1,540円
- ページ数286ページ
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著者紹介
概要
世界各地で頻発するテロの原因は、果たして民族や宗教、貧困のせいなのか? 著者の答えは、“否”。数が多く、居場所のない「ユース・バルジ」(15~25歳未満の青年層)こそが、最大の原因だという。本書では、これを基軸に、暴動と人口の「隠れた法則」をあぶり出す。飢えよりも若者のポスト不足が恐い等々、従来とは一味違う、海外ニュースの見方が示される。
要約
西洋が世界を制覇した理由
もし仮に、日本の人口増加率が、パレスチナ暫定自治政府が統治する「ガザ地区」並みであったなら、日本は今頃どうなっていただろう。
1950年から2008年までの間に、ガザ地区は24万から150万に増えた。この間の増加率を、1950年当時の日本の人口8300万に当てはめると、日本の現在の総人口は1億2700万ではなく、5億2000万。平均年齢は、44歳でなく15歳だ。
15歳未満の少年男子の人口は900万ではなく1億3000万で、彼らは2023年までに、いわゆる「戦闘年齢」と称される15~29歳に達する。
この世代の人口が急増した場合、深刻な問題となるのは、彼らが社会に出た時に職にありつけないことだ。
職にあぶれた者に残された道は、次の6つだ。
①国外への移住、②犯罪に走る、③クーデタを起こす、④内戦または革命を起こす、⑤集団殺害や追放を加え、少数派のポストを奪う、⑥越境戦争にまで及んで、流血の植民を経てポストを得る。
欧州の若者たちは、この6つの道すべてを、450年にわたり同時並行で進んだ。
1348年の西洋の人口は8000万人だった。だが、大ペスト禍(黒死病)で3000万人が生命を落とし、1450年の人口は約5000万となった。
その後、ローマ教皇の命もあり、1490年頃から女性1人当たり6~7人の子を産むようになる。これは、中世の出産実績の2倍以上にあたる。
その結果、何が起こったか。
1500年当時、戦闘能力を有する男の比率を世界規模で見た時、欧州出身者は1000人のうち100人強だった。それが1914年には、北米とオーストラリア・ニュージーランドまで含めると、白人の割合が同350人となる。