2015年3月号掲載
GO WILD 野生の体を取り戻せ! 科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス
Original Title :GO WILD
著者紹介
概要
本書は、我々のライフスタイルを、「野生化」しようと説く。生活は豊かだが、肥満やうつ病、がんなどで苦しむ現代人。進化のルールに照らせば、今のライフスタイルは健康や幸福につながらない。本来、人は野性的に暮らすように設計されているとし、科学的な観点から、食事、運動、思考等の「再野生化」を提案。人間の体について、新しい見方ができる1冊だ。
要約
現代人を苦しめるもの
「Go Wild(ワイルドに行こう)」
このタイトルを見て、はめを外す大学生を連想する方がいるかもしれない。だが、本書における「ワイルド」は本来の意味で用いている。
すなわち、野生だ。1万年前まで遡れば、人は野生人だった。文明は様々な恩恵をもたらしたが、本書では野生(野性)の重要性を見直したい。
人類は自然な環境の下で進化し、今日の人間になった。そして私たちは、その同じ遺伝子を受け継いでいる。つまり、本来、私たちは野性的に暮らすように設計されていて、飼い馴らされたような生活は病気や不幸をもたらすのだ。
その本来の設計について、驚くべき真実を紹介したい。何より理解いただきたいのは食事、運動、睡眠、思考、そして生き方は全てつながっているということ。全てが、健康と幸福に関わっている。
病気とは「文明がもたらす苦しみ」
そもそも、何が私たちを病気にするのか?
それを解明するため、ワシントン大学の保健指標・評価研究所が、世界187カ国で291の病気の実態を調べ、2012年に結果を発表した。以下は、その論文が挙げた世界の主要な健康問題だ。
虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)、下気道感染症、脳卒中、下痢、HIV、腰痛、マラリア、慢性閉塞性肺疾患、早産、交通事故による傷害、大うつ病性障害、新生児脳炎。
そして、これらの問題の原因として、危険度の高い次の「12のリスク因子」を挙げている。
高血圧、喫煙、アルコール、家庭の空気汚染、果物をあまり食べない、肥満、高血糖、低体重、大気汚染、運動不足、塩分の摂りすぎ、ナッツ類をあまり食べない。
この調査で驚かされるのは、リスク因子のリストで、これは一般的な病気の概念を覆すものだ。