2015年6月号掲載
進みながら強くなる 欲望道徳論
- 著者
- 出版社
- 発行日2015年4月22日
- 定価770円
- ページ数190ページ
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著者紹介
概要
仕事でも学問でも、パフォーマンスを上げるには見切り発車で始めることが大切。こう語る著者が、「進みながら強くなる」方法を説く。正しく考える方法や、日本人の道徳意識について、直系家族・核家族、日本と欧米の家族形態の違いから説くなど、興味深く読ませる。「すべてを疑おう」等、デカルトが示した考える方法の4原則は、覚えておいて損なし!
要約
正しく考える方法
読者の方々は、両親や会社の上司から、「しっかり自分の頭で考えてみろよ」と言われたことはないだろうか?
しかし、いったい何のために考えるのか、ということまで考えろとは言われないはずだ。考えるなら、そこのところまで考えねばならない。
「何が得かを知る」のが考える目的だ
何のために、考えるのか。それは「自分にとって何が一番得なのか、それを知りたい」からだ。
考える目的を徹底的に考えていくと、結局、それしかない。これこそが、あらゆることの原点だ。人間は自分の得にならないことは絶対にしない。これを、まず押さえておかなければならない。
というのも、「自分にとって何が一番得なのか」ということを徹底的に考えると、不思議なことに、答えは「自分にとってだけ一番得になること」からどんどん遠ざかっていくからだ。
例えば、家を建てる場合、敷地の面積に対する建物の面積が決まっていて、一定の空き地を確保しなければならない。これを建ぺい率という。
なるべく広い家に住む方が得なので、皆が建ぺい率ギリギリに家を建てると、庭が狭く緑の少ない家ばかりになる。ゴミゴミと建て込んだ町並みは、見た目が汚いし、火事が燃え広がりやすい。
このように、皆が自分にとって得なことだけを考えた町の資産価値は下がる。自分にとって一番得なことをしたつもりが、一番損になってしまう。
それよりは、たとえ少し家が狭くなっても、皆が庭を広く取り、緑を増やして、建ぺい率に余裕のある家を建てた方が、美しく安全な町になって資産価値が上がり、自分に一番得なことになる。
こういうことを一生懸命考えねばならない。
家族形態の違いが「人の思考」に影響を及ぼす
戦後、日本にアメリカ的なライフ・スタイルが入り込んできてからは、「考える」ということ自体の目的が全く違ってしまった。