2016年1月号掲載
ロボットの脅威 人の仕事がなくなる日
Original Title :RISE OF THE ROBOTS:Technology and the Threat of a Jobless Future
- 著者
- 出版社
- 発行日2015年10月21日
- 定価2,640円
- ページ数409ページ
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著者紹介
概要
今日、テクノロジーの進歩が目覚ましい。ニュースの記事を書いたり、自ら作曲する人工知能まで誕生している。ただ、これを喜んでばかりもいられない。このまま技術の進歩が続けば、人の仕事が消えかねない ―― 。シリコンバレーの起業家が、“機械が労働者そのもの”になった時、社会、経済はどうなるのか、明らかにする。
要約
テクノロジーの進歩
20世紀の米国では、テクノロジーの進歩は一貫して、社会を繁栄に向けて牽引してきた。
その過程では、混乱も起こった。農業の機械化は何百万人もの職を奪い、失業した農業労働者が工場での職を求めて都市へ流入した。
こうした移行の時期には、失業がしばしば問題となったが、構造的、恒久的なものにはならなかった。新しい職が必ず生み出され、仕事を失った労働者は新たな勤め口を得た。しかも、新たな仕事は往々にして以前の仕事よりも条件がよく、高いスキルが求められ、賃金も高かった。
テクノロジーの進歩は生産性の向上と軌を一にして、労働者の懐を潤してきた。そしてその労働者たちが今度は、所得を消費に回すことで、自分たちの作り出している製品やサービスへの需要をさらに刺激していった。この好循環が原動力となって、米国経済はどんどん前進した。
ところが、生産性の向上と賃金の上昇の共生関係が、1970年代に入ると崩れはじめた。
1973年から2013年にかけて、労働者の所得は13%も減少した。しかし同じ時期、生産性は107%も上昇している。
2010年1月2日付ワシントン・ポスト紙は、「21世紀の最初の10年が終わった結果、その間に新しい仕事は生み出されなかった」と報じた。
まったくのゼロだ。こんなことは、大恐慌以降のどの10年間にも皆無だった。実際に戦後の時代を10年単位で分けた場合、労働者の勤め口の数が20%以上増加しなかった時期はない。
今、米国経済は新時代に入ろうとしているのだ。その時代は、労働者と機械の関係が根本的に変化する時代として定義されるだろう。
機械とは、労働者の生産性を上げるための道具である ―― これはテクノロジーをめぐる最も基本的な前提の1つだ。
しかし、新時代の変化はいずれ、この前提に疑いを突きつけるだろう。機械が労働者そのものへと変わろうとしているからだ。