2016年1月号掲載

ロボットの脅威 人の仕事がなくなる日

Original Title :RISE OF THE ROBOTS:Technology and the Threat of a Jobless Future

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著者紹介

概要

今日、テクノロジーの進歩が目覚ましい。ニュースの記事を書いたり、自ら作曲する人工知能まで誕生している。ただ、これを喜んでばかりもいられない。このまま技術の進歩が続けば、人の仕事が消えかねない ―― 。シリコンバレーの起業家が、“機械が労働者そのもの”になった時、社会、経済はどうなるのか、明らかにする。

要約

テクノロジーの進歩

 20世紀の米国では、テクノロジーの進歩は一貫して、社会を繁栄に向けて牽引してきた。

 その過程では、混乱も起こった。農業の機械化は何百万人もの職を奪い、失業した農業労働者が工場での職を求めて都市へ流入した。

 こうした移行の時期には、失業がしばしば問題となったが、構造的、恒久的なものにはならなかった。新しい職が必ず生み出され、仕事を失った労働者は新たな勤め口を得た。しかも、新たな仕事は往々にして以前の仕事よりも条件がよく、高いスキルが求められ、賃金も高かった。

 テクノロジーの進歩は生産性の向上と軌を一にして、労働者の懐を潤してきた。そしてその労働者たちが今度は、所得を消費に回すことで、自分たちの作り出している製品やサービスへの需要をさらに刺激していった。この好循環が原動力となって、米国経済はどんどん前進した。

 ところが、生産性の向上と賃金の上昇の共生関係が、1970年代に入ると崩れはじめた。

 1973年から2013年にかけて、労働者の所得は13%も減少した。しかし同じ時期、生産性は107%も上昇している。

 2010年1月2日付ワシントン・ポスト紙は、「21世紀の最初の10年が終わった結果、その間に新しい仕事は生み出されなかった」と報じた。

 まったくのゼロだ。こんなことは、大恐慌以降のどの10年間にも皆無だった。実際に戦後の時代を10年単位で分けた場合、労働者の勤め口の数が20%以上増加しなかった時期はない。

 機械とは、労働者の生産性を上げるための道具である ―― これはテクノロジーをめぐる最も基本的な前提の1つだ。

 しかし、新時代の変化はいずれ、この前提に疑いを突きつけるだろう。機械が労働者そのものへと変わろうとしているからだ。

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